積極的にマーケットに参加しよう!軌道に乗せるためのオープン時の集客戦略
私は、開業するときに必ず「ホットペッパーやGoogleマイビジネスを利用してください」と伝えます。
新しいサロンはマーケットに参加することがとても大切だと思っているからです。
ここで言うマーケットとは「モノやサービスを売り買いする場所」を指します。今日はこのマーケットについてお話をします。
お客さまの中には、自分のホームページを作ったり、周辺にチラシを撒いたりすることで十分と考えている人がいますが、直接的にお客さまにアプローチをするのはかなり難しいのです。
どんな業種であれ、新規参入する場合には、マーケットで売る方が、直接お客さまに売るよりも効果的です。
目次
マーケットがないと商売は大変
改めて、定義しておきます。人が集まって取引する場所をマーケットと言います。「市場」あるいは「いちば」とも言います。
マーケットがないと、売り手は直接買い手を見つけて商売をしなければなりません。
農家の例で言えば、売る場所がないと、自分の育てた野菜を買ってもらうために車を引いて町を練り歩き、買ってくれる人を探さなければなりません。
美容室で言えば、道行く人を見つけて声をかけて、お店に来てもらう努力が必要です。
あるいは周辺にチラシをまいたり、駅に立って一人ひとりにチケットを渡したりして、お客さまを集めなければいけません。
最近では「お客さまとSNSなどでやり取りをして来店を促すこともできると」言いますが、これができるのは買い手をすでに知っている場合だけでしょう。
あるいは「ホームページを作ってそこで集客したい」という人もいます。しかし、お客さまが直接サロンのサイトに訪問することはほとんどありません。
グーグルの検索上にいないと見つけてもらえないのです。
直接お客さまにアプローチするのは非効率であるばかりか効果も薄いのです。
人が集まるという魅力
マーケットが形成されると買い手も売り手もそこに集まってきます。みんなが使っているとさらに多くの人が集まります。
ではなぜ、マーケットが魅力的なのでしょうか。マーケットには3つの利点があります。
明瞭性
お客さまにとっては、比較しやすくて選びやすいというメリットがあります。お客さまは自分の予算にあった価格の商品を選べます。
一方、売り手は、競合との差別化ポイントをお客さまに知ってもらいやすくなります。
同質性
業種が絞られているため、それを求めている買い手しか来ないのもメリットです。
例えば新しい美容室に興味がない人にとって、チラシはただのゴミになってしまいます。
美容室を求める人だけが集まる場所ではムダ打ちが減るため、効率的に集客ができます。
公平性
ルールにしたがって参画できれば平等に勝負できる点も魅力です。大手サロンでも個人店でも自由に参加できます。
様々なサロンが集まることで、小さいサロン、ユニークなサロンを探すお客さまにとっても便利です。
売り手にとっても、買い手にとっても売買しやすい場所なのです。
ネット社会はマーケット社会
ではマーケットとはどんな場所のことでしょうか。
野菜を売っている農家にとってのマーケットとは、その名の通りファーマーズマーケット(マルシェ)ですね。農家が集まって野菜を売ります。
食品というくくりではスーパーマーケットです。
ファッションアパレルにとってのマーケットはショッピングモールや百貨店になります。
昨今ではインターネットの普及によって、マーケットはますます増加しています。
アマゾンのマーケットプレイス、楽天市場はその名の通り様々な商品・サービスの売買を行うマーケットになりました。
さらに、ネット上のマーケットは、モノだけでなく外食や旅行にも広がっています。美容室を売買するマーケットはホットペッパーや楽天ビューティーですよね。
ネットは参入の障害が低いため規模も大きくなります。生活に関わるモノ・サービスを提供するマーケットが集まっているサイトをプラットフォームと言います。
まずはマーケットに参加すべき
例えば「全国から注文殺到の洋菓子店」といったニュースをよく見かけます。
その洋菓子店もまずはアマゾンや楽天市場に出品して、口コミでどんどん拡がっていった結果、人気店に成長しています。
マーケットへの参加を避けていては客数は増やせません。
「ホットペッパーには載せたくない」というならば別の市場に参加してくださいと伝えています。
「ホームページで勝負したい」というならGoogleマイビジネスに登録してくださいと伝えています。
美容室を探している人が集まる場所を避けてお客さまを増やすというのは、それ自体が矛盾しています。
マーケットで獲得したお客さまを離さないために
しかし、ずっとマーケット上で競合サロンと戦っていては疲れてしまいます。経費も負担になってきます。
それゆえ、ある程度サロンにお客さまが来るようになったら、徐々にお客さまをマーケットの外に誘導していきます。
つまりリピート施策として、直接営業をしかけるようにしていきます。SNSやメールで特定のお客さまへアプローチすることができるのです。
マーケットの外に誘導できれば、前述したマーケットの特徴がなくなります。
つまり、比較されないので、お客さま一人ひとりに違うクーポンやサービスを提供できます。
お客さまに美容以外の商品・サービスも売ることができます。公平性も必要ないので、来てほしいお客さまにだけに絞って営業もできます。
理想の集客戦略は「マーケットでお客さまを獲得して、マーケット外でお客さまを囲い込む」です。開業者はまずマーケットに飛び込む勇気を持ちましょう。
●文/コンシェルジュ室:安斎
ビューティガレージ コンシェルジュ室
日本最大級のプロ向け美容商材のオンラインショップ&ショールームを運営する株式会社ビューティガレージで、サロンの開業・経営支援のコンサルタント業務を担当。
15年以上のサポート実績と、数多くの開業事例、データに基づいた分析で、年間600件以上の開業に携わっています。
事業計画書の作成からお店のオープンまで、サロンオーナーと二人三脚で開業準備を行う「開業プロデュース」が好評。成功サロンを多数輩出しています。