コストから考えてはいけない!目的とコンセプトが最優先!サロンを作るときの手順
前回の記事では、小規模サロンを希望している開業相談者が増えていると書きました。
一人サロン、あるいは小規模サロンを希望しているのは、経済的な理由が多いようです。
「開業費用を抑えて運転資金に回す」「指名客だけでサロンが回ればいい」
特に新型コロナウイルスの感染がまだ収束していないといった背景もあるようです。
身の丈にあった開業を目指すことは、現実的ですばらしい判断だと思います。
しかし一方で、現実的な可能性からサロンを作っていくことにはデメリットもあります。それは、自分が本当に作りたいサロンができないかもしれない、ということです。
開業準備は本来、自分のつくりたいサロンという理想を描いて、それを実現させていくというプロセスが基本です。
目次
まずは「開業の目的」から
開業をしたい人が、最初に考えなければならないのは「開業して何をしたいのか」です。開業したいと思っている人は、何かしら動機があるはずです。
「開業費用を抑えて、何とかやっていければいい」というのであれば、業務委託でも、面貸しでもいいはずです。
サロンを作る目的については正解はありません。自分が達成したい目的を明らかにして、数字で目標を決めることが大切です。
例えば、今の給料以上の収入を得たいのであれば、その数字を明らかにします。
もし、自分の(あるいは家族との)時間を重視したいのであれば、生産性を考えなければなりません。それは短い営業日(例えば20日)で得られる利益額かもしれません。
逆に「地域で有名な美容室になる」を目的にする場合、売上高を指標に置くでしょう。そうすると、最初から小規模サロンで達成することは難しくなるかもしれません。
このように、まずは自分が開業したら何を達成したいのかを明確にすることから始めます。
※詳しくは『開業で何を成し遂げる? “独立の意義”で変わる重視すべきポイント』を参考にしてください。
コンセプトを明確にする
次に考えるのは、サロンコンセプトです。
コンセプトはサロンが提供したい価値です。そして、自分が目指すサロン像です。サロンのイメージを明確に描き切りましょう。
こちらは事例を使って説明していきます。
例えば、Aさんは『ママ専用サロン』というコンセプトを出すことにしました。
ご近所の忙しい主婦の方に、子ども連れでもリラックスできる空間とキレイを提供したいと思いました。
イメージするのは、未就学児がいるママ世代が子供連れできて、子どもがおもちゃで遊んだり、映画を見たりしている間に、短時間でリラックスできてキレイになれるサロン。
このサロンを作るためには、どんな要素が必要でしょうか。
【立地】主婦層が多い住宅地で開業。子どもを連れてくるなら車なので、駐車場は必須。
【スペース】セット面+シャンプーブースに加えて、子どもが遊べるスペースも必要。
【内装デザイン】非日常とまではいかないが、サロンに来ている感じが出る施術スペースが欲しい。
【サービス】短時間でもリラックスしてもらうため、フルフラットシャンプーは必須。忙しくて、ゆっくりシャワーも浴びれない人向けに、シャンプーにも力を入れたい。
【スタッフ】子連れの場合、子どもカットも求められる。スタッフの人数も増やしたい。
事例のように、イメージに近づくために必要な要素を設定していきます。
もしも、居抜き物件で家賃も安いところを探して、駅前徒歩1分の繁華街のビル6Fに物件が見つかったとして、そこでAさんはサロンを始めるでしょうか?
開業費用よりも、サロンコンセプトが優先されるべきなのです。
現実的な計画に落とし込む
ありたい姿(『開業の目的』『サロンコンセプト』)が明確になったら、ここから現実的な計画に落とし込んでいきます。
ここで重要になるのが、開業資金計画と収支計画になります。
開業資金計画
まず、サロンコンセプトをもとに物件を選び、内装デザインを考え、器具を揃えます。
Aさんの事例で言えば、住宅地のテナントは少ないため予算よりも物件取得費用が高くても、契約すると判断しています。
そうなった場合には、内装費や器具代を抑える必要が出てきます。
あるいは内装、器具も必要なモノを入れることで予算を超える可能性もあります。そうした場合には、運転資金をいくらまで削れるのかなどを考慮します。
運転資金を考えるとなると、見込み集客の精度も重要になります。ある程度の売上と利益がオープン後に予想できるのであれば、資金を設備投資に回せるからです。
限られた予算で理想のサロンを作るために、見積もりを出して精緻に分析して意思決定していきます。
収支シミュレーション
もう一方は収支計画です。そのサロンで目的を達成できるのかを試算します。
売上を重視するサロンを作るならば、スタッフとなるスタイリストの個人売上と給与が重要になります。
一緒に働くスタッフにどこまで期待できるかと、どのくらいの報酬があればインセンティブになるかを考えましょう。
特に一人サロンで利益を出したい場合には、客数よりも客単価が重視されます。
ターゲットになるお客さまがどのくらいの価格なら来店するかを考えて決めます。自分の見込み客を想定しているのであれば、単価をそこに寄せる必要もあります。
ありたい姿を達成できるかを判断する
計画書の作成では、サロンコンセプトを壊さず、開業費用を抑えられるか、利益を確保できるか。これが肝になります。
サロンコンセプトが守れて、かつ売上、利益が出ると思うのであれば、居抜き物件でもよいという判断になります。
もし、非現実的な計画になってしまったり、かなり販管費が高く、利益が中々でなそうなサロンになってしまったら、当然計画を見直すことになります。
開業の目的は変えることはできません。この計画で目的を達成できないのであれば、コンセプトを見直します。
サロンコンセプトは独りよがりではいけません。必ず開業の目的が達成されるものでなければいけません。
優先されるべきは、開業の目的、サロンコンセプトの順になります。
最初からコストで決めない
大事なのは順番です。開業後のありたい姿を設定する。コンセプトを作る。
計画書に落とし込み実現できる方法を探す。事業計画書を作成しながらで初めてコストを意識します。
最初から「コスト」を考えると、ありきたりでオリジナル性をなくします。
とりあえず「独立したい」という人はあまりいません。自分がやりたいこと、達成したいことがあるはずです。それがないと、事業を続けるモチベーションを失います。
現実的でリスクを減らした開業は素晴らしいですが、開業をする以上「こんな生き方がしたい」「こんなサロンを作りたい」という志を持って準備していただきたいと思います。
そのために我々コンシェルジュ室がお手伝いさせていただきます。ぜひ、開業無料相談にもお問合せください。
●文/コンシェルジュ室:安斎
ビューティガレージ コンシェルジュ室
日本最大級のプロ向け美容商材のオンラインショップ&ショールームを運営する株式会社ビューティガレージで、サロンの開業・経営支援のコンサルタント業務を担当。
15年以上のサポート実績と、数多くの開業事例、データに基づいた分析で、年間600件以上の開業に携わっています。
事業計画書の作成からお店のオープンまで、サロンオーナーと二人三脚で開業準備を行う「開業プロデュース」が好評。成功サロンを多数輩出しています。