最初は粗くてもOK!事業計画書は開業準備を進めながらブラッシュアップさせましょう!

公開日:2021/07/16  更新日:2021/07/16
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プランニング

開業準備の第一歩目は事業計画書の作成です。

 

事業計画書をもとに物件や内装イメージ、美容器具などを決めていきます。

 

そのように伝えると、事業計画書の作成に時間をかけすぎて前に進めない人も出てきてしまいます。

 

理由は、最初から事業計画書を完ぺきに作ろうとしてしまうからです。

 

事業計画書が完成するのは融資直前です。

 

事業計画書を作り、物件や内装デザインを決めていく過程で修正を繰り返し、ようやく完成するのです。

 

ざっくりと作る

最初の段階では、調査も不十分で、わからないことが多いので自分の考えや思っていることを中心に作成していきます。

 

例えば、以下のような感じで、計画書に考えたことを入れていきます。

 

・サロンのイメージは「ナチュラル系」カフェっぽい雰囲気にしたい。

 

・ターゲットは30代の主婦層(自分の指名客で一番得意だから)

 

・白髪染めメインでトリートメントを付加価値に。

 

・開業資金はとりあえず、自己資金200万円と借入800万円で1000万円以内に抑える。15~20坪で、将来のことを考えてセット面6席は欲しい。

 

・売上は、自分の指名客が通いやすいエリアだから月の売上80万円はかたい。一緒に働くスタッフも80万円程度は見込めるだろう。二人で150万円以上は取れそうなので、家賃は15万円~20万円を想定しよう。

 

もちろん、事前に調べた情報があれば家賃などがある程度わかります。

 

しかし、まだ何も知らない段階では、本当にざっくりとサロンのコンセプトや開業予算、収支計画を作っていきます。

 

前に進めながら情報を集める

事業計画書の第一案をもとに物件選定に進めます。

 

その中で不動産業者や内装業者から様々な情報が入ってきます。

 

さらに、自分で出店エリアについて調べていくうちに新たな事実がわかってきます。

 

・30代主婦をターゲットにした競合サロンが多い。同じように白髪染め・トリートメントの訴求をしている。

 

・家賃相場は15坪だと25万円以上かかりそう。自分が気に入った物件は、駅近く、路面店で家賃が20万円だったけれど、12坪しかない。

 

・内装業者に現地調査をしてもらった結果、内装費が500万円くらいになりそうだ。

 

・スタッフに話を聞いてみると指名客の来店は見込みが薄いようだ。

 

 

こうした事実は事業計画書作成の段階ではわかりません。

 

前に進めていくうちに、どんどん細かな情報が集まってきます。

 

つまり最初に作った事業計画書とのズレが生じるのです。

 

現実に即して修正する

このケースでは、①競合とサービスがかぶってしまうこと、②開業費用が思っている以上にかかること、③スタッフの見込み客が少ないため売上が低くなりそうなこと、が課題にあがってきました。

 

こうした事実を踏まえて事業計画書を見直します。

 

・ターゲットは変えずに、訴求方法を変える。髪質ではなく「頭皮」からのアンチエイジングで差別化をして、スパメニューに力を入れる。

 

・自分の指名客にサイドメニューとしてスパを訴求して単価をあげる。

 

・価格はほかのサロンと同じにしつつ、メニュー比率やリピート施策で売上を伸ばす。

 

・スタッフの売上があまり期待できないが、家賃相場からして20万円は仕方がない。でもそれ以上は出せない。

 

・必然的に希望より小さい物件で我慢するしかない。

 

・内装費が予想以上に大きくなったので予算を増やすことにする。自己資金を50万円増やし250万円として、850万円の借入れを目指すことにする。

 

 

このように、得られた情報から事業計画書を修正していきます。

 

修正を施すことで、現実的なプランにブラッシュアップされていきます。

 

大枠で決めたことの細部を詰めていくことで、融資審査に出せるまでの計画書になります。

 

状況に応じて修正するのが計画書

まずは粗くてもよいので、事業計画書を作ってしまうことが肝心です。

 

的外れでも構いません。

 

前に進めていくうちにうまくいかないことがわかり、修正を迫られます。

 

開業だけでなく経営でも、環境に柔軟に対応できるオーナーでなければ生き残っていけません。

 

こだわりを持つことも、自分の理想を追い求めることもそれなりに大切ではあります。

 

しかし一方で、条件にあう物件をずっと探したり、自己資金が十分に貯まるまで待ったりすると、開業するチャンスを逃すこともあります。

 

とにかく自分の考えを事業計画書でアウトプットしてみる。

 

それについて、専門家の意見を聞いたり、自分で調べたりして、現実に即した形に直していく。

 

そういうやり方のほうが開業準備を早く進めることができます。

 

間違えてはいけないのが、物件が決まってから計画書を作り始めるのはNGだということ。

 

これだと自分の判断基準がないままに、物件に合わせて計画を作ることになります。

 

柔軟ではなく、行き当たりばったりな開業になってしまいます。

 

あくまで第一歩目は事業計画書の作成。ただし、作りこみすぎず、こだわりすぎない。

 

そう考えれば、結構気軽に作れるのではないでしょうか。

 

 

●文/コンシェルジュ室:安斎

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ビューティガレージ コンシェルジュ室

日本最大級のプロ向け美容商材のオンラインショップ&ショールームを運営する株式会社ビューティガレージで、サロンの開業・経営支援のコンサルタント業務を担当。

15年以上のサポート実績と、数多くの開業事例、データに基づいた分析で、年間600件以上の開業に携わっています。

事業計画書の作成からお店のオープンまで、サロンオーナーと二人三脚で開業準備を行う「開業プロデュース」が好評。成功サロンを多数輩出しています。

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