【美容室開業のリアル】開業のきっかけと直面する課題:家族編

公開日:2021/02/27  更新日:2021/02/26
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美容室 開業

新型コロナウイルス感染症が開業のきっかけになるかを調べるために、担当した開業相談でヒアリングを実施しました。

 

結果は『【美容室開業のリアル】コロナショックは独立のきっかけになるか?開業希望者の本音』にまとめましたが、開業しようと具体的に行動に移すきっかけが多様だったので、今回はそちらを紹介したいと思います。

 

多くの人が「将来は開業したい」と思って日々仕事に打ち込んでいます。しかし、それを実現するために実際に動き始めるには何かしらの動機が必要です。

 

コロナウイルスがきっかけになって開業準備を始める人は少なかったのですが、別のきっかけがありました。

 

開業相談でヒアリングできた29件を分類してみました。どんなきっかけで開業準備を始めるかによって課題もバラバラです。

 

家族か仕事か

開業相談でお話をさせていただく中で、開業を意識するきっかけというのは大きく2つに分けられるようです。

 

「家族がきっかけになるもの」と「仕事(勤務先)がきっかけになるもの」です。興味深いのはどちらも同じくらいの数になったことです。家族要因の人は13件、仕事要因の人は16件でした。

 

アンケート

まず、家庭環境がきっかけになって開業を決意する人たちを4つに分けてみました。

 

家を買う

自宅を購入したり、自宅のリフォームをしたりするため、そのタイミングにあわせて開業をする人です。相談を受けた全員が住居兼サロンを目指していました。

 

住宅を買うにしても、家のリフォームをするにしても、事業用とは別にお金が出ていきます。

 

住宅ローンが通らなければ家は建てられません。一方、自宅の一角を美容室として使いますといえば住宅ローンが通りにくくなります。

 

例えば、配偶者が会社員として安定した給与をもらい、配偶者がメインで住宅ローンを借りるなど、条件面を揃えなければ困難です。

 

また立地選びに関しても、サロンを意識すべきか住宅を意識すべきかによって判断が変わってきます。あまり住宅に寄せすぎるとそこで集客ができるか、という問題もでてきます。

 

地元に戻る

子供が大きくなり、今のマンションで生活するのは狭くなったということで、実家に戻る人もいらっしゃました。家を建てるという選択肢もあります。

 

今働いている場所から離れて開業する場合には集客が課題になります。

 

融資審査では自分の見込み客がいるほうが有利です。現サロンでの指名客が見込めない場合には、集客戦略をしっかり作る必要があります。また、地元の友人、家族などコミュニティの協力も不可欠な要素です。

 

特に地方はテナント自体が少ないという課題もあります。実家に戻ったはいいが、物件が決まらない場合もあります。

 

物件が集まる市街地などを中心に探していくことになります。しかし都市部に比べて、サロンの条件にあうテナントを見つけるのは難しいと言えます。

 

仕事復帰する

これは女性スタイリストさんに多く見られます。今回もそうでした。

 

女性スタイリストの中には、出産、育児を機に働き方を変えている人がいます。働き方を見直す時期に、あらためて独立という選択肢も考えるようになります。

 

ある人は、これまではパートタイムで週2日だったところを、子どもが学校に入るタイミングで本格的に働こうと決心します。

 

その時に、どうせフルタイムで働くなら「これまでの夢だった独立を目指そう」となって開業相談にお越しいただきました。

 

中には、しばらく育休中だったり、仕事を辞めていたりする人もいます。

 

このケースでは「資金調達」が課題になります。当然ですが、美容師としての活動が少ないため「まずは雇用されてフルタイムで働いては」と指摘されかねません。

 

また、自己資金に関しても、配偶者への依存度が高くなりがちです。家族のお金を使ってでも独立する価値があるかを数字で示さなければなりません。

 

パートタイムだとしても個人でどれだけの実績が出せたのか、これまでどんなキャリアを歩んできたのか、店長などマネジメント経験はあるのか、など自分の棚卸しが重要になります。

 

建物・土地を相続する

祖母の土地をもらったので、そこで開業をしたいという相談も受けました。もう一つは、親族が所有しているビルに空きができたので、そのテナントで開業したいというものでした。

 

土地は確保しても、そこで建物からサロンを作る場合には、テナントよりもはるかに費用がかかります。建物を建てるだけでなく、水道、電気、ガスをその土地に通す必要もあります。

 

大げさに言えば電信柱を一本建てなければいけなくなる可能性もゼロではありません。

 

事業ローンでその費用をすべて賄うのはかなり困難です。それこそ住宅を建てて一部を美容室にするといった方が現実的です。

 

一方、テナントを所有している場合には、その立地で集客が見込めるのかがカギになります。立地を選択できない分、テナントありきで事業計画書を作ることになってしまいます。

 

自分の理想のサロンを作るためには適さないやり方です。

 

家族きっかけの開業は家庭環境にあわせる

家庭環境が変わることがきっかけで開業に踏み切るケースとそこで生じる課題を見てきました。

 

「家庭環境にあわせて独立をすること」と「独立するために家族に協力を得ること」は違います。家庭環境にあわせると、どうしても開業時の制約が厳しくなります。

 

住宅を建てる場合には「住みやすさを意識した立地」を考慮しなければなりません。

 

地元に戻る場合には、見込み客が減るため、集客の工夫が必要です。

 

仕事復帰として独立するとなると、これまでの収入では自己資金が貯まっていないかもしれません。

 

土地や物件の相続ならば、立地の選択の余地もありません。

 

何が選択できて、何が選択できないかを見極めながら開業準備をしていきましょう。

 

また、家庭の状況によって開業準備が進まないことも十分あり得ます。長期的な開業計画を立てていくことが大事です。

 

次回は仕事がきっかけになるケースを見ていきます。

 

 

●文/コンシェルジュ室:安斎

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ビューティガレージ コンシェルジュ室

日本最大級のプロ向け美容商材のオンラインショップ&ショールームを運営する株式会社ビューティガレージで、サロンの開業・経営支援のコンサルタント業務を担当。

15年以上のサポート実績と、数多くの開業事例、データに基づいた分析で、年間600件以上の開業に携わっています。

事業計画書の作成からお店のオープンまで、サロンオーナーと二人三脚で開業準備を行う「開業プロデュース」が好評。成功サロンを多数輩出しています。

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