サロン繁盛のカギは仕組み化!店舗ルールを作ることの重要性
オープンしたお客さまから「やっぱりマニュアルとかルールとか作ったほうがよいですか」という質問を受けました。
個人事業主と言えどもスタッフを雇ってサロンを経営するかぎり店舗ルールを作る必要はあると思います。
サロンのルールはお客さまに対して統一した価値を提供するだけでなく、スタイリストがストレスなく働くために不可欠です。
「うちは小さいから」というオーナーもいらっしゃいますが、サロンが小さくてもルールは必要です。
店舗展開するようになったらルールを作るのではなく、ルールをしっかり作っているから店舗展開ができるようになります。
今回は、いくつかサロンの失敗事例をもとに、サロンのルール作りの重要性についてお話します。
顧客満足につながる
サロンのルールを作ることは、サービスを統一できるというメリットがあります。
どのスタイリストが担当しても同じ技術、接客を提供することがサロンの顧客満足度を高めます。
毎回来店するたび、違うサービスを受けることはお客さまにとってストレスです。
あるサロンでの話です。はじめて来店されたお客さまが「ドライカット」を経験しました。
ドライカットは髪質を見ながら切っていくことで、その人のクセに合わせたスタイルを作りやすくなります。
お客さまは、自分の髪の状態を確認しながら切ってもらえることが気に入りました。
このドライカットを気に入ったお客さまが2回目に来店した時、別のスタイリストが髪を濡らしてカットをしてしまいました。
お客さまはドライカットを期待して来店したのに、髪を濡らされて非常にがっかりしたそうです。
このサロンは業務委託サロンで、カット技術などは個々のスタイリストに任せていたそうです。
もし前のスタイリストを指名していたらそうはならなかったかもしれませんが、お客さまはサロンに期待しています。それを裏切ってしまったという話です。
サロンが支持されるのは、スタイリスト一人ひとりの技術ではありません。
誰が担当しても同じクオリティのサービスを提供できるからです。
サービスの統一は技術の話だけではありません。
あるときはiPadで電子書籍を渡されたのに、あるときは紙で、しかも自分には興味のない雑誌を渡される。
前回はドリンクメニューを聞かれたのに、今回は黙ってアイスコーヒーを持ってこられた。
統一ルールのないサロンは、サロンとしてのクオリティを下げてしまい、結果として顧客満足度も下げることになってしまうのです。
毎回同じサービスを提供できることは簡単なようで難しいものです。だからルールが必要なのです。
スタッフの働きやすさにつながる
また店舗ルールはスタイリストの働き方を助けます。
一つ例をお話します。お客さまがサロンに忘れ物をしました。
お電話で連絡したところ、後日取りに来るとのことでした。
担当スタッフは忘れ物をどこにおいていいか分からず、先輩スタイリストにお願いしました。
先輩スタイリストはバックルームの自分のバッグにいれたまま施術を開始、その日の仕事を終え、そのまま帰りました。
翌日、お客さまが忘れ物を取りに来ました。担当者はいたものの、先輩スタイリストはまだ出勤していない状態。
こうなった原因は「忘れ物をどこに保管するか」といったルールが決まっていなかったらです。
もし保管場所や保管方法が明確に決まっていたら、こうしたトラブルは起こりません。
また別の例として予約についてのトラブルを見てみましょう。
予約と予約の間が30分しかない状況で、カットだけの男性のお客さまを受けるかどうか。
飛び込みで入ってきたお客さまに「カットだけなのでお願いできますか」と言われました。
30分は確かに時間があります。見た感じ20分くらいで終わるのではと思い、受けてしまいました。
しかし、実際やってみると30分には終わりませんでした。
そして結局、次のお客さまを待たせることになってしまいました。
こうした判断に迷う場合「次の予約が30分後にあるときは飛び込みは受けない」というルールがあれば断ることができます。
明確にルールがあればスタッフは迷わずに行動できます。相談したり確認したりする手間も省けます。
ルールはスタッフを縛るものではなく、働きやすくするものなのです。
サロンのコンセプトを体現できる
ルール作りはサロンのブランドを守るためにも不可欠です。こちらもいくつか事例を用いて説明します。
癒しとリラクゼーションを謳うサロンでは、落ち着いた雰囲気を作るために、スタッフに「店内での私語厳禁・バックルームでも笑い声禁止」をルールにしました。
アロマの香りとヘッドスパをウリにしたサロン。
「香り」をお客さまに楽しんでほしいと思ったオーナーは、スタッフに営業時間内での喫煙を禁止しました。
子連れの主婦をターゲットにしたサロンでは、ベビーカー置き場、子ども同伴の場合に座ってもらう席(キッズスペースに近い場所)を明確に決めています。
このように、具体的なルールを作ることでサロンコンセプトをお客さまにもアピールできるのです。
ルールはサロンオーナーの責任で
前勤務先のルールが嫌で「もっと自由にサロンワークをしたい」と思う人もいますが、実際にはルールがあってはじめてサロンが機能することに気がつきます。
ルールを作ることで、1)お客さまに統一したサービスを提供できる2)スタッフが働きやすくなる3)サロンコンセプトを体現できる、といったメリットを見てきました。
逆にルールを明確にすることで、そのルールに従えない人が出てきます。
残念ながらそういうスタッフとは一緒に働くことはできません。
スタッフから嫌われるのがいやでルールを曖昧にすると、スタッフはさらにストレスがたまることになります。
また自分の好きなやり方で接客をするスタッフもでてきます。
サロンのすべての責任はオーナーにあります。したがってオーナーがルールを作ることは当然の権利です。
オープン前はバタバタしていて難しいかもしれませんが、ぜひサロンのオペレーションにも目を向けて、明確なルール設定をしていってほしいと思います。
●文/コンシェルジュ室:安斎
ビューティガレージ コンシェルジュ室
日本最大級のプロ向け美容商材のオンラインショップ&ショールームを運営する株式会社ビューティガレージで、サロンの開業・経営支援のコンサルタント業務を担当。
15年以上のサポート実績と、数多くの開業事例、データに基づいた分析で、年間600件以上の開業に携わっています。
事業計画書の作成からお店のオープンまで、サロンオーナーと二人三脚で開業準備を行う「開業プロデュース」が好評。成功サロンを多数輩出しています。