資金計画の盲点に注意!!オープンまでに発生する経費について考えよう。

公開日:2022/10/11  更新日:2022/10/11
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
オープンまでに出ていくお金

融資が決定して資金調達ができると、開業準備は一気に進みます。

 

物件契約をすると入居できるようになります。そして内装工事が始まります。内装工事をしている間に、美容器具や設備、備品や商材を購入します。

 

また、サロンのロゴやチラシを作ったり、決済機器を導入したり、賠償保険に入ったり、営業に必要な準備にもお金を使います。

 

と、ここまでは計画通りに資金を使っています。

 

ところが、なにかしらの原因でオープン日が長引いたり、融資が決まる前に物件の契約をしてしまったりすると、計画以上にお金がでていくことがあります。

 

融資が決まってからオープンするまでの数ヶ月。計画以上に費用が発生するリスクについて考えてみましょう。

 

家賃

物件契約をするときには、保証金(敷金)や礼金のほかに、前払い家賃を支払います。つまり、1ヶ月分の家賃を先に支払います。

 

それゆえ、物件入居日からオープンまでに時間がかかってしまうと、オープンする前に家賃の支払いが再び発生することになります。(フリーレントがない場合を想定します。)

 

10月家賃(1日入居) → 9月に契約時に支払い(前払い家賃)
11月家賃(オープン) →  10月に支払い

オープンが伸びると、1ヶ月分余計な家賃の支払いが発生します。

 

10月家賃(1日入居)  → 9月に契約時に支払い(前払い家賃)
11月家賃(工事や営業許可) →10月に支払い
12月家賃(ようやくオープン) → 11月に支払い

家賃は額が大きいため、十分な売上が立つまでに2ヶ月分の家賃を支払うリスクが生じます。

 

支払利息

融資が決定すると、融資実行の次の月から元金返済と利息の支払いが発生します。据置期間を設定すると次月からの元金返済は不要になりますが、利息の支払いは絶対です。

 

したがって、9月に融資が実行されれば、10月には少なくとも利息の支払いは発生します。

 

これも家賃と同様で、オープン時期が遅れてしまえば売上が発生する前に、出ていくお金が増えてしまいます。

 

もし据置期間を設けていなかったら、元金も支払うことになりますので、かなりの高額になります。

 

例えば、物件の取得費を自己資金で支払うことができる場合には、融資実行を先送りすることで、利息支払いを遅らせることができます。

 

9月融資実行・物件契約

10月支払利息の発生

先に自己資金で物件契約ができる場合

 

9月物件契約(自己資金で)

10月融資実行

11月支払利息の発生

 

広告費の発生

この場合の広告費は定期的な支払いが発生するメディアを指します。ホットペッパービューティーを想定してみましょう。

 

ホットペッパーの掲載費は後払いです。月末に掲載開始して翌月中に支払いが発生します。

 

認知度を高めるために、オープン前から掲載することもあります。

 

さらに掲載申込みには締切があるため、その月の掲載を逃してしまったら、次月まで待つ必要があります。

 

そうした事情から、売上が発生する前から広告費が発生します。

11月オープンを見越して10月号(9月末掲載)からスタートすると。

10月号(9月末掲載)→ 10月中支払い
11月号(10月末掲載) → 11月中支払い

もしオープンが1ヶ月伸びてしまうと、もう1ヶ月の支払いリスクが発生します。売上がほとんどない状態で、掲載費だけは2~3ヶ月支払うことになります。

 

もちろん、オープン後の予約が埋まるのであれば嬉しいですが、資金繰りの視点から言えば、掲載プランが大きければ大きいほど、お金が減っていきます。

 

オープン前から資金が枯渇する可能性が出てきます。

 

生活費

オープンの遅れが影響を与えるのはサロンのお金だけではありません。

 

多くの開業者は、以前働いていたサロンをどこかのタイミングで辞めます。フリーランスの場合はギリギリまで働くことは可能ですが、雇用されていた場合には、退職日はサロンオーナーと決めることが普通です。

 

融資が決まって物件も契約できた時点で、開業者は本格的に自分の時間を開業準備に当てます。

 

したがって、仕事を辞めて準備を始めたのに、サロンがオープンできない状況に陥るのはリスクです。

 

独立することがわかっているので失業保険も適用できません。オープンして売上が発生するまでの間、サロンの費用に加えて、自分の生活費も、残りの資金でやりくりしなければならないのです。

 

我々も開業サポートをするときには、必ず「事業で使うお金以外に、いくら残せるか」を確認してもらいます。

 

オープンすらできない状況では収入はゼロなので、お店が軌道に乗る前に生活に困ってしまう可能性もあり得ます。たかが1ヶ月伸びただけでも、相当の資金が減ってしまいます。

 

それゆえ、十分な生活費を確保した状態で計画を進めましょう。

 

オープンが遅れてしまうリスク

オープンが遅れるのは大きく二つの原因があります。

 

内装工事の遅れ

大きな要因は内装工事の遅れにあります。内装契約前に、作業スケジュールを確認しますが、計画通りに進まないこともあり得ます。

 

特に作業人数を削ることで安く抑えた内装工事は、そういうトラブルが起きています。

 

人数が少ないために工事の進みが遅い、連絡が取りにくくなるなど、内装業者側の不手際によるものです。

 

また、工事を開始してから建物に欠陥が見つかるケースもあります。その場合も、工事工程の見直しが入ります。

 

オーナー側の要因としては、なかなかデザインが決まらない。価格面で妥協できず、契約がまとまらず工事まで進まない。

 

いずれにせよ、内装業者とオーナーのコミュニケーションがポイントです。

 

材料・部品が届かない

最近は落ち着いてきましたが、今年の春頃は半導体を中心に部品不足によって製品が作れないという事態が相次ぎました。

 

例えば給湯器が確保できないと、シャンプーが使えないのでオープンはできません。

 

機材・設備の在庫の確認は融資決定前から行っておくとよいでしょう。特に輸入品などは、不確定要素が大きいので、代替品についても候補を挙げておくことがおすすめです。

 

その他

これとは別に、不動産から物件契約を急かされたため、オープンまでに空家賃を払い続けることもあり得ます。

 

オープンが遅れるのではなく、予定よりも早く家賃が発生することによる資金枯渇もあり得ます。

 

計画以上にお金は出ていく

事業計画書はサロンを作るためのお金、サロンを経営していく際に出ていくお金を中心に考えています。

 

しかし実際は、お店ができてオープンするまでの間にもお金は出ていきます。特に、想定していた以上にオープンに時間がかかり、お金が出ていくことは誰にでもあり得ます。

 

資金繰りの問題を予防するために2つのことを守りましょう。

 

最短で無駄のないオープンスケジュールを作る。

オープン日から逆算して、いつまでにどこまで終わっておくべきかを計画しましょう。そしてそのスケジュールをその都度チェックしていきましょう。

 

「入居日の次の日から工事に入る」「3週間で完成したら、残り1週間で営業許可をもらう」など、より綿密なスケジュールを作ったほうが、オープンまでの無駄な時間を減らせます。

 

資金繰りに余裕を持たせる。

運転資金は固定費の3ヶ月~6ヶ月で用意しましょうと伝えていますが、オープンがずれてしまうと、下手すると売上が発生するまでに、家賃の支払いが2回、3回発生する可能性があります。

 

それゆえ、余裕資金を運転資金に組み込んでおきましょう。

 

例えば、6ヶ月の運転資金のうち2ヶ月分は余裕資金として考え、オープンまでに発生する費用を賄うように計画を立てましょう。

オープンできない=入ってくるお金はゼロですから、当然出ていくお金に備えることが大切です。

 

サロン作りのためのお金、オープン後に発生する経費は考えますが、オープンまでに発生する(かもしれない)経費についてもしっかり考えておきましょう。

 

●文/コンシェルジュ室:安斎

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

ビューティガレージ コンシェルジュ室

日本最大級のプロ向け美容商材のオンラインショップ&ショールームを運営する株式会社ビューティガレージで、サロンの開業・経営支援のコンサルタント業務を担当。

15年以上のサポート実績と、数多くの開業事例、データに基づいた分析で、年間600件以上の開業に携わっています。

事業計画書の作成からお店のオープンまで、サロンオーナーと二人三脚で開業準備を行う「開業プロデュース」が好評。成功サロンを多数輩出しています。

関連記事

開業事例