仕事と家庭を両立できる職場環境を!両立支援等助成金(育児休業等支援コース)について
よく聞くスタッフ離職のきっかけの一つに、出産・育児があげられます。復帰にも時間がかかったり、復帰後も出産前のようには働けない。
スタッフ側が負い目を感じてしまう。また、サロン側もそこに対する施策が打てずにいる。そういう相談を受けることがあります。
採用難といわれるこの時代、従業員に長く働いてもらうための環境を作ることも、サロンオーナーにとって重要な業務です。
もちろん、事業内の制度を作るのは大変です。しかし、そのための助成金があります。仕事と生活の両立を実現すると助成金がもらえるのです。
今回は両立支援等助成金の中の「育児休業等支援コース」について解説いたします。
両立支援等助成金とは
職業生活と家庭生活が両立できる職場環境づくりをしている事業者に対して給付される助成金です。
具体的には3つの支援コースがあります。
- 出生時両立支援コース(子育てパパ支援助成金)
- 介護離職防止支援コース
- 育児休業等支援コース
その一つ、育児休業等支援コースは、育児休業が必要なスタッフに休暇を取らせて、復帰を促し、復帰後の仕事と子育ての両立を支援するための仕組みです。
育休取得時・職場復帰時の支援
厚生労働省のチラシによれば、
「育休復帰支援プラン」を作成し、プランに沿って労働者 の円滑な育児休業の取得・職場復帰に取り組み、育児休業を 取得した労働者が生じた中小企業事業主に支給します。
厚生労働省『2022年度の両立支援等助成金の概要』
とあります。しっかりと支援策を練って実行しなければならないのがポイントです。
給付は以下の通り。
支援内容 | 条件 | タイミング | 支給額 |
育休取得時・職場復帰時の支援 | 育休取得・職場復帰 育休復帰支援プラン作成後、実行する。 |
休業を取得した時 | 28.5万円 |
職場復帰した後 | 28.5万円 |
休業取得時の具体的な条件は以下の通り。
- 育休取得前には、必ず支援する予定があることを労働者(スタッフ)に周知させること。
- スタッフと面談を行い、復帰の予定やその後の働き方の希望などを話して、記録すること。
- 希望をもとに育休復帰支援プランを作成すること。
- 業務の引継ぎを行い、連続3ヶ月以上の育児休業を取得させること。
復帰時の具体的な条件は以下の通り。
- 復帰にあたって、職務や業務の情報・資料をスタッフに提供すること。
- 育休終了前に、スタッフとの面談を実施して、記録すること。
- 原則として、元の仕事に復帰させて、雇用保険被保険者として6ヶ月以上雇用すること。
業務代替支援
育児休業が取得できる環境を作ったとはいえ、スタッフが一人減ることで仕事が回らなくなる、売上が減ってしまうことが想定されます。
したがって、新しい人を雇用したり、残ったスタッフが業務を引き継ぐことも考えることになるでしょう。
そんな場合にも、業務代替支援として助成金がもらえます。
支援内容 | 要件 | 取り組み | 支給金額 |
業務代替支援 | 対象スタッフの業務を新規雇用によって、あるいは職場スタッフで補うこと。 | 新規雇用 | 47.5万円 |
業務を見直し、残ったスタッフで業務をカバー | 10万円 |
これに加えて、対象スタッフが有期雇用契約の場合には、9.5万円が加算されます。
具体的な取り組み内容は以下の通りです。
- 育児休業取得者が育児休業終了後、復職させる旨を就業規則等に明記すること。
- 対象スタッフが3ヶ月以上の育児休業を実施していて、A)新なスタッフを確保できた、もしくはB)新しいスタッフを増員せずに、業務を見直したり、他のスタッフに業務をカバーさせたりする。
- 原則として、元の仕事に復帰させて、雇用保険被保険者として6ヶ月以上雇用すること。
職場復帰後の支援
育児休業から復帰後、仕事と育児の両立が 特に困難な時期にある労働者のために、以下の支援制度を導入する場合に、助成金がもらえます。
子の看護休暇制度
(就学前の)子どもが病気になった場合などに、有給休暇をとって看護を認めること。
保育サービス費用補助制度
一時預かりになるベビーシッターや託児所利用したさいに発生する費用を一部補助する制度です。
支援内容 | 要件 | 取り組み | 支給金額 |
職場復帰後の支援 | 上記2つの制度を導入すること。 | 制度の導入 (どちらか1つの導入時に発生するのみ) | 47.5万円 |
子の看護休暇制度 | 1時間1,000円×時間分 | ||
保育サービス費用補助制度 | サービス利用の実費の2/3 |
具体的な要件は以下の通り。
- 対象スタッフが1か月以上の育児休業(産後休業を含む。)から復帰。
- 復帰後6ヶ月以内において、 導入した制度の一定の利用実績(A:子の看護休暇制度 は10時間以上(有給)の取得または B:保育サービス費用補助制度は3万円以上の補助)があること。
注意点
ざっくりと子育て支援にかかる助成金について解説してきましたが、より細かい設定があります。
例えば、一事業者が、助成金をもらえる対象スタッフの数は限られています。また、もらえる金額の上限もあります。
さらに、厚生労働省が設定している生産性要件という指標があります。その要件を満たすと上記載の助成金が割り増しされます。
詳細は、厚生労働省『2022年度の両立支援等助成金の概要』をご確認ください。
まとめ
働き方が多様化しているからこそ、サロン側も環境を整えることが非常に大切です。特に、出産や子育てのためにサロンを離れてしまうのは残念です。
採用が厳しい状況、従業員満足度はもはや顧客満足度と同等に重要。職場環境の改善を行っていきましょう。
特にこうした仕事と家庭生活の両立をするための支援には、助成金という形で政府が後押しをしてくれています。
助成金は要件を満たせば必ずもらえるお金です。ぜひご自身のサロンで、スタッフの両立支援に取り組んでみてください。
ビューティガレージでは、助成金・補助金に関する情報も提供しております。まずはどんな助成金があてはまるか、シミュレーションをしてみてください。
●文/コンシェルジュ室:安斎
ビューティガレージ コンシェルジュ室
日本最大級のプロ向け美容商材のオンラインショップ&ショールームを運営する株式会社ビューティガレージで、サロンの開業・経営支援のコンサルタント業務を担当。
15年以上のサポート実績と、数多くの開業事例、データに基づいた分析で、年間600件以上の開業に携わっています。
事業計画書の作成からお店のオープンまで、サロンオーナーと二人三脚で開業準備を行う「開業プロデュース」が好評。成功サロンを多数輩出しています。