もうオープンしちゃったけど間に合うの?美容室開業時に提出する「開業届」とは
開業されたお客さまの中には「開業届は出さなくても大丈夫ですか?」という質問がくることがあります。
「なぜですか?」と質問すると、「開業前はバタバタしていてそんな時間がない」とか「開業届を出さなくても確定申告できるって聞いた」といった答えが返ってきます。
あるいは、オープンしてから少しして「そういえば開業届を出してないのですが、何か罰則ありますか?」といった相談を受けることもあります。
開業届について、あまりよくわかっていない人も多くいるかと思いますので、あらためて開業届について解説します。
目次
開業届は必要なのか
日本の法律では、事業を始めたら開業届を出すことが義務付けられています(所得税法299条)。
じつは開業届を出さなくても、罰則はないし、確定申告もできます。
しかし、事業を継続していくなら開業届は出した方がいいです。義務であるというのももちろんですが、メリットもあるからです。
開業届のメリットは
開業届がなくても確定申告はできます。しかしその場合、白色申告になります。つまり税制上の優遇もない、簡易な収支報告書のみの確定申告です。
青色申告を選択できる
開業届を提出する大きなメリットは青色申告ができることです。あらためておさらいですが、青色申告にはどのような優遇措置があるのでしょうか。
65万円の所得控除を受けられる
売上から経費を差し引いた金額から、さらに65万円を差し引いた金額に対して税金がかかります。
赤字の3年間の繰り越しできる
例えば、オープン1年目・2年目に赤字をだして、3年目に利益が出た場合。
利益の額から繰り越した損失(1,2年目の)をマイナスして、税金のかかる金額を計算することができます。
30万円未満のものは一括計上
30万円未満のものは全額購入した年の経費とすることができます。大きな額を経費計上できるため、税控除になりますね。
屋号での口座開設できる
税制以外のメリットとしては、屋号での口座を開設できる点です。プライベートの口座と分けて、事業のお金を管理することができます。
また、振込先の口座に屋号が付いていることで、振込みを行う側に安心感を与えます。
屋号の口座開設は、窓口でしか扱っていません。そのさいに開業届を提出する必要があります。
開業届の手続き
開業届はいつ提出するか
開業して1ヶ月以内に税務署にて開業届を提出します。オープン前じゃなくてもよいですし、オープンしてからでもよいのです。
万が一、オープン後1ヶ月過ぎてしまった場合はどうでしょう。期限を過ぎてしまっても罰則はありません。
だからと言って遅れてもいいというのではありません。開業届を提出しないと確定申告で青色申告を選択できないからです。
どうやって提出するか
バタバタして忙しい人は、窓口に行く時間がないというでしょう。
しかし、今は郵送での提出も、e-Taxオンラインでの提出もあるので、いつでもできてしまうのです。
青色申告を希望する場合は、開業届のほかに「青色申告承認申請書」の提出が必要です。申請書は開業日から2ヵ月以内に提出が求められています。
提出書類は
提出書類は、開業届です。正式には「個人事業の開業・廃業等届出書」といいます。
国税庁のホームページからダウンロードできます。
それ以外に、マイナンバー(個人番号)が必要です。税金をマイナンバーと紐づけることになっているので、個人番号(12桁)を入力する場所があります。
まとめ
新たに事業を始める人は、開業届を提出することが義務付けられています。
開業届を出すことによって、青色申告で確定申告することができ、税控除のメリットを享受できます。
またサロン名で通帳を持てるようにもなります。またサロン名で事業活動ができるため社会的な信頼度が上がります。
提出自体も簡単で、忙しい場合にはオンラインや郵送で済んでしまうくらい簡単です。
そんなに難しくありません。面倒くさがらずに提出しておきましょう。
●文/コンシェルジュ室:安斎
ビューティガレージ コンシェルジュ室
日本最大級のプロ向け美容商材のオンラインショップ&ショールームを運営する株式会社ビューティガレージで、サロンの開業・経営支援のコンサルタント業務を担当。
15年以上のサポート実績と、数多くの開業事例、データに基づいた分析で、年間600件以上の開業に携わっています。
事業計画書の作成からお店のオープンまで、サロンオーナーと二人三脚で開業準備を行う「開業プロデュース」が好評。成功サロンを多数輩出しています。