2025年開業を目指す人へ!「持たない経営」を意識した美容室開業
新年あけましておめでとうございます!
昨年も「SALONスターター」をご愛読いただき、誠にありがとうございました。
おかげさまで「SALONスターター」は今年で7年目を迎えます。
これからも美容室開業に関する有益な情報をお届けできるよう全力で取り組んでまいります。
さて、毎年元旦に記事をアップさせていただいておりますが、今年のテーマは「持たない経営」。
「美容室を開業するには、店舗を所有しなければならない」と思い込んでいませんか?実は、最近では店舗を所有しないなど、新しいスタイルの開業が注目されています。本記事では、その具体的な内容とメリットデメリットをご紹介します。
目次
「持たない経営」とは?
「持たない経営」とは、資産や設備をあえて所有せず、必要なリソースを外部から調達することで経営の柔軟性を高め、リスクを抑える経営スタイルを指します。
美容室の場合、以下のような形が考えられます。
- 店舗や設備を所有しない
- スタッフを持たない
- バックオフィス業務をもたない
店舗や設備を持たない
「店舗を持たない」と聞くとフリーランス美容師を思い浮かべる方も多いかもしれません。しかし、ここで紹介するのは「店舗の運営だけを担う」スタイルです。
従来は、物件の取得、内装工事、美容器具の購入を開業オーナー自身が行い、その後サロンを運営していました。
所有と運営の分離
一方で、近年では物件の取得や店舗作りを他者に委託し、オーナーは運営に専念するスタイルが注目されています。この形態では、以下のような仕組みが活用されます。
- リース会社や不動産会社の活用
リース会社や不動産会社がサロン専用の物件を提供し、それを運営者が借りる形態です。この場合、物件選定や内装工事、必要な美容器具の導入までをパッケージで行ってもらえるため、オーナー自身が準備に時間を割く必要がありません。
- 既存サロンオーナーとの連携
複数店舗を経営するサロンオーナーが、新たな店舗を運営者に提供する形態も増えています。これにより、経営者としての経験が浅い方でも、既存オーナーのサポートを受けながら店舗を運営することができます。
この方法を採用する最大のメリットは、初期投資を大幅に抑えられる点です。物件取得費、内装工事費、美容器具購入費などの高額な初期コストが不要になるため、限られた資金でもサロンをスタートさせることが可能です。また、物件や設備の準備を他者に委託することで、開業までの時間を短縮し、早期に収益化を図ることができます。
参考記事:『価格高騰時代の資金調達!融資とリースを上手に組み合わせよう』
スタッフを持たない
人材不足が深刻化している昨今、美容室経営において正社員を採用し続けることは、ますます困難になっています。
特に小規模なサロンでは、採用活動にかかるコストや時間、さらに採用したスタッフが早期に離職してしまうリスクを考慮すると、従来の雇用モデルにこだわることが経営の負担となりかねません。
こうした課題を解決するために、フリーランス美容師やパートタイムスタッフを活用する「スタッフを持たない経営」も注目されています。
フリーランス美容師との業務委託契約
フリーランス美容師を活用することで、即戦力としての人材を確保できます。特に集客が順調なサロンであれば、業務委託契約を結ぶことで、フリーランス美容師が自身の技術と経験を持ち込み、サロンの収益に直結する働きをしてくれます。この形態では、フリーランス美容師が自ら顧客を持っている場合も多く、集客コストを削減する効果も期待できます。
また、業務委託契約では固定給ではなく歩合制で報酬を支払うことが一般的なため、サロンの売上に応じて人件費を柔軟に調整できる点も大きなメリットです。
パートタイムスタッフの活用
一方、新規集客がまだ十分でない場合や、フルタイムのスタッフを必要としない場合は、アシスタント業務をパートタイムスタッフに依頼する方法があります。パートタイムスタッフは比較的低コストで採用できる上、特定の時間帯や曜日に集中して人手を補いたいというニーズにも対応可能です。
また、必要に応じて業務範囲を調整しやすいため、サロンの成長段階に合わせた柔軟な人材運用が可能です。
人件費の削減だけでなく、柔軟な人材活用を可能にし、経営リスクの軽減につながる選択肢です。状況に応じた適切な活用方法を検討することが、安定したサロン経営の鍵と言えるでしょう。
参考記事:『美容室の採用はなぜ難しい?その背景と効果的な求人方法を紹介』
参考記事:『焦らずサロンを育てよう!新規開業サロンでの業務委託はハードルが高い理由』
バックオフィス業務をもたない
美容室の経営者は、サービスの提供だけでなく、経理業務や集客活動、スタッフの給与計算など、幅広いバックオフィス業務にも対応しなければなりません。
しかし、これらの業務は直接的に売上を生むものではなく、時間とコストの負担が大きいのが実情です。
このような背景から、バックオフィス業務を効率化し負担を軽減するためにクラウドシステムやアウトソーシングを活用することが有効な選択肢として考えられています。
クラウドシステムの導入
クラウドシステムを導入することで、これまで紙ベースや現金で行っていた管理業務を大幅に削減することが可能です。例えば、電子カルテを採用すれば、従来の紙カルテを保管・管理するスペースや手間が不要になります。
また、キャッシュレス決済を導入することで現金管理の必要がなくなり、盗難リスクや小口現金の煩雑な処理から解放されます。
さらに、クラウドシステムを活用することで、データをどこからでも閲覧・操作できるようになるため、経営者は場所を選ばずに状況を確認したり、必要な調整を行うことができます。
これにより、店舗業務の効率化だけでなく、経営全体のスピードアップにもつながります。
業務のアウトソーシング
給与計算や業務委託契約者への報酬計算といった煩雑な業務は、専門家にアウトソースすることで効率化が可能です。これにより、経営者やスタッフがバックオフィス業務に時間を取られることなく、本来注力すべきサービスの提供や顧客対応に集中できるようになります。
アウトソーシングはまた、ミスを防ぎ、法令順守を確実にするという点でも有効です。給与計算や税務処理には細かい専門知識が必要ですが、これをプロに任せることで安心して業務を進められるようになります。
これらのクラウドシステムやアウトソーシングサービスの多くは、サブスクリプション型(月額定額制)の形態で提供されています。このモデルには、以下のようなメリットがあります。
- コストの予測がしやすい:月々の料金が固定されているため、ランニングコストを計画的に管理できる。
- 柔軟性が高い:必要に応じて契約を拡大・縮小したり、不要になれば簡単に解約できる。
こうしたサービスを導入することで、経営者はコストパフォーマンスを最適化し、必要なときに必要な分だけリソースを活用することが可能になります。
参考記事:『開業前に知りたい! サロン経営に不可欠なPOSシステムの基本と選び方』
参考記事:『サロン業務を変える覚悟はありますか?失敗しないサービス導入の考え方!』
「持たない経営」のメリットと注意点
「持たない経営」には、さまざまなメリットがありますが、その一方で注意すべきポイントも存在します。ここでは、それぞれについて詳しく解説します。
メリット
まず大きなメリットは、初期投資を大幅に抑えられる点です。通常、美容室を開業するには、物件取得費、内装工事費、美容器具の購入費といった多額の初期費用が必要です。
しかし、「持たない経営」ではこれらの費用を省略することができるため、限られた資金での開業が可能となります。これにより、事業を始めるハードルが下がり、多くの方にとって現実的な選択肢となるでしょう。
また、「持たない経営」は、経営の柔軟性を高める効果もあります。例えば、外部リソースを活用することで、環境の変化や顧客ニーズの変動に迅速に対応することができます。
さらに、所有している資産が少ない分、事業を縮小・拡大する際の負担も軽減されます。これにより、経営者は本来注力すべきマーケティングや顧客サービスに集中することが可能になります。
注意点
一方で、「持たない経営」にはいくつかのデメリットも存在します。最大の注意点は、初期費用を抑えられる代わりに、月々のランニングコストが増える点です。店舗のリース料や設備の利用料、外注費などが継続的に発生するため、長期的には所有する場合よりも総コストが高くなる可能性があります。
このため、収益性が安定しないうちはキャッシュフローの管理が重要になります。
また、外部リソースの利用が増えることで、管理の複雑さも増します。例えば、複数の業務委託契約を結んでいる場合、それぞれの条件や契約内容を適切に管理する必要があります。
これを怠ると、予期せぬトラブルやコスト増加の原因となり得ます。同様に、クラウドシステムやITツールを多用する場合も、導入時や運用時に必要なリソースの見極めが重要です。
使いすぎると逆に経営の効率を損ねる可能性があるため、選択には注意が必要です。
まとめ:「所有」と「運営」のバランスを考える
開業費用の高騰や人材不足といった課題がある中、「店舗を所有しない」「経営資源を持たない」という選択肢は現実的かつ有効な方法です。
例えば、ビューティガレージグループの「店舗まるごとリース」サービスでは、物件取得から内装工事、美容器具の設置までを代行し、オーナーは運営に専念することが可能です。このようなサービスを活用すれば、初期費用を抑えてマーケティングや採用に資金を回せます。
「所有する」か「手放す」かを選ぶ際は、メリットとデメリットをしっかり比較検討し、事業計画書を丁寧に作成することが重要です。ビューティガレージでは、無料相談も受け付けておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
『開業無料相談』
本年もビューティガレージグループをどうぞよろしくお願いいたします。
●コンシェルジュ室:安斎
ビューティガレージ コンシェルジュ室
日本最大級のプロ向け美容商材のオンラインショップ&ショールームを運営する株式会社ビューティガレージで、サロンの開業・経営支援のコンサルタント業務を担当。
15年以上のサポート実績と、数多くの開業事例、データに基づいた分析で、年間600件以上の開業に携わっています。
事業計画書の作成からお店のオープンまで、サロンオーナーと二人三脚で開業準備を行う「開業プロデュース」が好評。成功サロンを多数輩出しています。