開業はスケジュールが命! 物件を決めるタイミングっていつ?
開業予定の方から、「いい物件が見つかったから、すぐにでも融資を受けたい」という相談を受けることがあります。テナント物件の取得費用は高いため、物件を見つけたとしてもたいていの場合、融資を受けなければ支払えません。
自己資金だけで開業できるなら別ですが、融資を受ける場合、面接を受けるために事業計画書を含めさまざまな書類を揃える必要があり、物件を決めたからといってすぐには契約できないのです。
そして、融資面接までに時間がかかってしまった場合、家主が別の人と契約をしてしまい、希望の物件が借りられなくなってしまう可能性もあります。早く決めればいいというわけではないのです。
では、いったいどのタイミングで物件を決めればよいのでしょうか。今回は、開業までのスケジュールについてお話しします。
物件はオープンの3か月前に決定する
開業までのスケジュールで一番大事なことは、オープン日を決めることです。
もちろん、「先のことはわからない」「計画通りになんかいかない」という気持ちはあるでしょう。しかし、仮でもよいのでいったん決めてしまいましょう。
オープン日を決めることで、そこから逆算し、いつまでに何をしなければならないかという目標を立てやすくなります。
次に重要なのは、物件の決定です。目ぼしい物件を見つけたら、物件の内見をして、内装費の見積もりを出したり、収支シミュレーションを行ったりして、「この物件で開業する」と決断します。
この決定は、オープンの3か月前を目安に行いましょう。
物件を決めたら、まずは家主と仮契約や申込みを行います。物件を借りるという意思表示をして、仮で物件を押さえるのです。
そして、融資の準備にとりかかります。融資面接から融資の決定までは約1か月かかります。
物件の契約が成立すれば、そこから内装工事がスタートします。完成まで3週間程度はかかります。
保健所の立ち合いも必要ですから、サロンが完成してもすぐには営業できません。
こうしたプロセスを考えると、物件を決めてから開業するまで最短でも3か月はかかります。
たとえば、2018年11月20日にオープン日を設定したら、2018年の8月20日には物件が決まっているのが望ましいということです。
物件探しは事業計画書作成と並行して進める
開業を決意して最初にやるべきことは、事業計画書の作成です。サロンコンセプトとターゲット、物件の予算を明確にして、それに沿って物件を探していきます。
しかしながら、いつ理想の物件に巡り合うかというのはわかりません。
理想の物件が見つかったときすぐに融資面接を受けられるように、事業計画書をある程度完成させておくことが大切です。
物件決定後、スピードを持って進めていくためにも、早い段階から事業計画書の作成に取りかかりましょう。
物件が決まるまで計画書を寝かせる必要はありません。早ければ早いだけ、じっくりと考えて計画を立てることができます。
物件決定後の動きはスピーディーに
開業場所が決まると、一気にいろんなことが動きだします。開業費用が明確になり、必要な融資金額が決まります。申込み書類を揃えて、融資面接を受けます。
また、デザイナーとの店舗設計の打ち合わせが本格的に進みます。さらに、住所が決まると販促物や電話回線なども手配しなければなりません。
ホームページやチラシの作成はどこにお願いするのか。採用するならどこに掲載すべきか。それぞれの業者との打ち合わせも含めて、スケジュールを組んでいかなければなりません。
また、目ぼしい物件が見つかったら、すぐに現地調査を依頼できるように内装業者とも打ち合わせをしておくべきです。
物件の確認に時間がかかると、見積書や平面図の提出が遅れ、結果として融資も遅れることになるからです。
電気・ガスの容量が足りない場合には調査に時間がかかることもあります。
ということは、物件が決定するまでに、あらかじめ依頼する業者を決めていなければならないのです。
物件が決まった後は、じっくり考える時間はほとんどありません。一刻も早く資金を調達し、物件の契約を行う必要があります。
早く家賃収入が欲しい家主の立場に立って考えると、物件の申込みから契約までの期間が長いということは機会損失です。
別の応募者がいて、それがすぐに契約できる人であれば、その人と契約したいと思うのは当然です。
せっかく準備してようやく融資面接が終わったのに、融資が決まる前に物件を取られたというケースも少なくありません。
まとめ:開業スケジュールは前半じっくり、後半素早く
理想の物件が見つかった瞬間から、開業に向けて一気に動き始めます。せっかく物件が見つかっても、準備ができていないと、物件が契約できなかったり開業予定日に間に合わなかったりします。
オープン日の3か月前には物件を決めるという目安に従って、事業計画書の作成や業者の選定をできるだけ早く行いましょう。
12月に開業したいのならば9月には物件が決定していないと間に合いません。
年内にオープンしたい人は、あと1か月で事業計画書を作りながら物件を探さなければなりません。
しかしながら、物件は焦って決めるものではありません。まずは計画書が第一ということを忘れないでほしいと思います。
「じっくりと考えて計画書を作り、物件が決まったらスピードアップ」。これが開業のスケジュールのポイントです。
お急ぎの方は、ぜひ開業無料相談にご来場ください。開業相談だけでなく、ご希望に応じて内装デザイナーや集客プランナーのご紹介もさせていただきます。
●文/コンシェルジュ室:安斎
ビューティガレージ コンシェルジュ室
日本最大級のプロ向け美容商材のオンラインショップ&ショールームを運営する株式会社ビューティガレージで、サロンの開業・経営支援のコンサルタント業務を担当。
15年以上のサポート実績と、数多くの開業事例、データに基づいた分析で、年間600件以上の開業に携わっています。
事業計画書の作成からお店のオープンまで、サロンオーナーと二人三脚で開業準備を行う「開業プロデュース」が好評。成功サロンを多数輩出しています。