契約は2つある!3者の「関係」からみる居抜き物件の注意点

公開日:2021/10/20  更新日:2021/10/20
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
居抜き物件 美容室

初期費用を抑えて開業する方法の一つとして、居抜き物件での開業があります。スケルトン物件で開業する場合と比べると、内装、美容器具を新調する必要がないため、かなり費用を抑えることができます。

 

さらに、すでに美容室の内装と器具が調えられているので、物件契約すれば最短で入居日から稼働できます。スケルトン物件の場合には物件契約後、工事を行うので1ヶ月は営業できません。

 

魅力的な居抜き物件での開業ではありますが、なかなかスムーズに契約までいかないこともあります。

 

特に居抜き物件は、開業者と物件オーナー(大家さん)に加えて、前サロンオーナーが契約に絡んできます。

 

通常の物件契約よりも複雑になりがちなので注意が必要です。

 

前サロンオーナーと物件オーナー

居抜き物件は前サロンオーナーがサロンを作って経営しています。

 

したがって、居抜き物件として貸し出すためには前サロンオーナーと物件オーナー(大家さん)の間での同意が必要です。

 

居抜き物件として貸し出すことは、物件オーナーにとっても、前サロンオーナーにとってもメリットがあります。

 

物件オーナーとしては、居抜き物件にすることによって、原状回復を待たずに、すぐに別の人に入居してもらえるメリットがあります。つまり、すぐに家賃収入を得られるということです。

 

一方、前サロンオーナーにとっては、退去時の原状回復を行わないため、費用がかからないという点と、内装造作と美容器具を譲渡できるため収益も得られるのです。

 

しかし、物件オーナーが「もう美容室はいやだ」となると、スケルトン戻しになる可能性があります。

 

原状回復自体は前サロンオーナーが負担するだけなので、物件オーナーが「新しい事業者を探す」として、スケルトンでの貸し出しを希望することもあります。

 

前サロンオーナーが「居抜き」に乗り気でも、物件オーナーの意思を確認しないとトラブルが起こります。

 

こんな話を聞きました。

 

知り合いの前サロンオーナーから、「自分のお店に居抜きとして入らないか」と誘われた開業者がいました。

 

彼はそのつもりで話を進めたところ、結局、物件オーナーが次回の入居条件に美容室NGを出したため断念しました。

 

居抜き物件で話を進めるには、物件オーナーと前サロンオーナー両方から確認を行いましょう。

 

開業者と前サロンオーナー

開業者は前サロンオーナーとの間に造作譲渡契約を結びます。

 

造作譲渡とは、サロンの内装、美容器具、設備などの造作物を前サロンオーナーから買い取るということです。

 

造作譲渡契約で注意が必要なのは、対象になる造作物の内容です。

 

前サロンオーナーは、サロンの美容器具や設備、あるいはタオルや備品も含め、自分で処分したくないために、すべてを造作譲渡に含めることがあります。

 

しかし開業者は、古くなったシャンプー台を見て、買い替えたいと思うかもしれません。

 

その場合には、古くなったシャンプー台を買って、それを自分で処分して、さらに新しいシャンプー台を買うことになります。

 

それゆえ、造作譲渡契約を結ぶ前に、しっかりと内見を行い、美容器具や設備の状態を見て、必要か不要かを判断することが重要になります。

 

そして、例えばシャンプー台は譲渡の対象から外してもらうように、前サロンオーナーに話を持ちかけ交渉しなければなりません。

 

造作譲渡の中に含まれないものは、前サロンオーナー、もしくは物件オーナーの責任において処分されます。

 

「シャンプー台を造作譲渡に含めない」あるいは「シャンプー台の価値がないため造作譲渡代金をその分安くする」といった折衷案も出てくるかもしれません。

 

こうした前サロンオーナーとの話し合いを仲介してくれる人がいるほうが、契約はスムーズに進みます。

 

しかし、居抜き物件を仲介する不動産会社でも、造作譲渡契約については仲介しない場合もあります。

 

居抜き物件を紹介してくれる不動産には前もって造作譲渡契約の仲介もしてもらえるかどうかも確認しておきましょう。

 

開業者と物件オーナー

居抜き物件といえども、物件自体は大家さんの所有物であり、一般の物件契約を行います。

 

したがって、スケルトン物件での開業と同じで、店舗保証金、礼金、仲介手数料、保証会社への支払いなどが発生します。

 

ここで注意が必要なのは、「開業者との契約は前サロンオーナーと同条件で契約できるとは限らない」ということです。

 

つまり家賃や店舗保証金を変えられることが十分あり得ます。

 

例えば、こんな話があります。

 

物件オーナーが前サロンオーナーにテナントを貸している時、内装工事を経験しました。

 

その時に、壁に穴を開けられたり、トイレを壊して別の場所に移されたりして不安を覚えました。

 

そこで、今回の開業者との契約では、店舗保証金を前回よりも高くすると判断しました。

 

また、申込者が美容師だったとしても、それだけで美容室の居抜き物件だからといって貸すというわけでもありません。

 

以前サポートさせていただいた案件では、美容室の居抜きだったにもかかわらずNGをもらったことがあります。理由は個人事業主だからというもの。

 

前サロンオーナーは法人、今回の開業者は個人事業主でした。物件オーナーはそこに不安を感じたというのです。

 

申込者がどんな人物かによって、条件を変更されたり、NGを出されたりすることは十分あり得るのです。

 

二つの契約を両方成立させるために

居抜き物件の契約は、前オーナーとの間で造作譲渡契約を、そして物件オーナーとの間で不動産契約を結びます。

 

前オーナーとは、どの造作物を譲渡するか、値段はいくらになるかをしっかり詰めて契約していきます。不動産契約は仲介を通して、家賃、店舗保証金についてを確認します。

 

どちらかの契約が結べなかった場合には、当然居抜き物件に入ることはできません。それぞれの契約で注意する点があります。

 

理想としては、どちらの契約も中に入って仲介してくれる業者がいるほうが安心なのです。

 

居抜き物件を内見した時には、担当の不動産会社に造作譲渡の仲介も行っているかを確認しましょう。

 

ビューティガレージのグループ会社BGパートナーズはサロンの居抜き物件で、不動産契約と造作譲渡契約両方の仲介を行います。

 

居抜き物件をお探しの際には、サロン不動産netをご利用ください。

 

●文/コンシェルジュ室:安斎

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

ビューティガレージ コンシェルジュ室

日本最大級のプロ向け美容商材のオンラインショップ&ショールームを運営する株式会社ビューティガレージで、サロンの開業・経営支援のコンサルタント業務を担当。

15年以上のサポート実績と、数多くの開業事例、データに基づいた分析で、年間600件以上の開業に携わっています。

事業計画書の作成からお店のオープンまで、サロンオーナーと二人三脚で開業準備を行う「開業プロデュース」が好評。成功サロンを多数輩出しています。

関連記事

開業事例