人材不足を克服しながら売上を確保するための“お客様の選び方”

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美容室 忙しい

これまで何度か触れてきましたが、これから開業する人にとって“人材の確保”は大きな課題です。

 

平成29年度の統計によると、全国の美容室の件数は24.7万件。一方、従業美容師の数は52.3万人です。単純に計算すれば、1サロンあたり2人の美容師で回しているということになります。

 

実際に、採用や働き方に関する相談も増えてきています。それだけ人材を確保するのが困難な状況になっているということです。

 

これからオーナーを目指す人は、人材不足の中で「どうやってサロンを繁盛させていくか」を考えなければいけません。労働環境の見直しや、業務委託やIT化による業務軽減策を講じるサロンも増えてきています。

 

ビューティガレージでも、社労士による『働き方改革セミナー』などが人気を集めています。

 

今回考えたいのは、「コンセプトとターゲット」による解決方法です。

 

直接的なサロンワークの見直しではなく、「来ていただくお客さまを限定する」ことで、人材不足を克服できると考えています。

 

※参考記事:BeaUTOPIA『平成時代の終わり。理美容室店舗数の変遷を振りかえる

 

人手不足がもたらす悪循環

最近、スタッフ採用や労務に関する相談が相次いでいます。その中でこんなケースがありました。スタッフが2人の小さなサロンを経営しているオーナーの話です。

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予想以上に集客ができてキャパシティオーバーになってしまいました。スタッフの募集をかけるも、なかなか採用できません。

 

そこでオーナーは、できるだけ施術時間を短縮できないか考えました。施術スピードに頼ったのです。これにより、スタッフ一人が対応できるお客さまの数は増えました。

 

しかし一方で、あまりの忙しさにスタッフから文句が出はじめます。挙句の果てには「もう辞めたい」とまで言われてしまいました。

 

また、徐々にお客さまからクレームが来るようになりました。お客さま一人ひとりに対応する時間を削ったことが原因かと思われます。

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このように、人手不足に対して既存スタッフに過度に効率を求めてしまうと、悪循環に陥る可能性があります。

 

スタッフかお客さまかの選択

これからのサロンオーナーは、今まで以上にスタッフへの気遣いが必要になります。給与面でも条件面でも、スタッフの希望を叶えられるように努力をしなければ、一緒に働いてくれる人はいなくなります。

 

スタッフが接客で手一杯な状況では、お客さまの要望に応えるために予約を追加で受けるのはできないということです。

 

現状、スタッフに関しては供給が少ない状態です。どのサロンもスタッフを求めています。ですから、スタイリストはサロンを辞めても仕事がなくなりません。

 

一方、サロンの数は増えています。お客さまは、自分の時間、場所、料金などを比較して行きたいサロンを選びます。もしも予約が取れなければ、別のサロンに行くだけです。

 

スタッフもお客さまも容易にサロンを乗り換える選択肢があるのです。このような状況でオーナーは、スタッフを取るかお客さまを取るかを真剣に考えなければなりません。

 

お客さまを選ぶ

私たちは、お客さまを減らしてでもスタッフの負担を減らすべきだと考えています。お客さまを減らすというのは、”サロンに来てほしいお客さまを選ぶ”という意味です。

 

美容室は小売業や飲食店と同じで、誰もがお客さまになるビジネスです。ビジネスの観点からすれば、8,000円を払ってくれるお客さまより10,000円を払ってくれるお客さまのほうがサロンにとってはうれしいはずです。

 

お客さまが10,000円払ってでも利用したいサロンをどう作るか、ということが重要になります。

 

スタッフ1人あたりの売上目標を80万円とすると、

■単価8,000円の場合
800,000円=単価8,000円 × 客数100人

1か月25日勤務の場合:1日4人の接客

■単価10,000円の場合
800,000円=単価10,000円 × 客数80人

1か月25日勤務の場合:1日3.2人の接客

 

上記のように、同じ80万円の売上でも、接客するお客さまが20人も違えば、スタッフのサロンワークにも余裕ができます。サロンが目指すべき姿は後者です。

 

提供する価値を考える

こう考えると「単価を上げればいい」という話になりがちですが、単純な値上げは意味がありません。

 

価格はサービスの価値を数値で表したものです。「誰にどんな価値を提供できるか」を考えて初めて価格が決まります。その価値に見合った価格でなければ集客はできません。

 

価格を考えるうえで大事なのが、サロンコンセプトとターゲットなのです。来てほしいお客さまの層を絞って、そのお客さまの悩みやニーズにあった価値を提供する必要があります。

 

「カットとスパの組み合わせ」をウリにしたサロンでは、カットだけを求めているお客さまは減ります。その分、スパに興味をもった人が支払ってくれる料金が高ければ、客数は減っても売上は確保できます。

 

今後、人手不足はますます深刻になることがわかっています。これからのサロンオーナーは、スタッフを雇って「低単価で客数を増やし席の回転率を上げる」というスタイルでは厳しくなります。

 

「客数は多くないけれど、サロンのコンセプトにあったお客さまが来店して、十分に利益がでる美容室」を目指していくべきです。

 

“お客さまを選ぶ”という視点でコンセプト・ターゲットの設定に取り組みましょう。

 

まとめ:まずは事業計画書から

多くのサロンは、人手不足という課題に対して、スタッフの働く環境を整えたり、レセプションなどサロンワーク以外の作業をIT化したりと、さまざまな工夫を行っています。

 

これらはサロン内での取り組みではありますが、組織内の調整や資金も必要になってきます。

 

今回提案している「お客さまを選定する」という方法はシンプルです。来てほしいお客さまを明確にすることで、客数を抑えながら利益を確保しようという試みです。

 

どのサロンも開業当初はサロンコンセプトとターゲットを設定していますが、運営していくうちに「とにかくお客さまを増やさないと」と数をこなすことに走ってしまいがちです。

 

これからサロンオーナーになる人には、一人でも多くのお客さまに来てもらうのではなく、「この人に来てもらいたい」を意識した事業計画書づくりを目指していただきたいと思います。

 

●文/コンシェルジュ室:安斎

 

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