資金の確保が最優先! 物件契約を巡るトラブルと対処法

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物件契約

コンシェルジュ室の開業相談に寄せられる問い合わせの中に、「よい物件が見つかったので、契約しようと思うのですが」というものがあります。

 

「資金調達はお済みですか」と聞くと、「契約してから融資を受けるつもり」と答える人がいらっしゃいます。

 

このように、よい物件を確保したいがあまり、思い切って契約にまで走ってしまいがちですが、『開業の流れ』でも示している通り、物件の確保は資金調達の後です。この順番を間違うとトラブルになります。

 

一方で、不動産会社は早く物件契約をしてもらいたいと思っています。人気のエリアでは、「早く契約しないと取られますよ」と言いながら契約を迫ってくることもあります。

 

今回は、物件契約についての注意点をお伝えします。

 

融資前に物件契約をするリスク

よい物件が見つかったら、まずは申込みをします。これは契約ではありません。申込者が多い場合は、大家さんが選定して契約者を決めます。申込時点では、物件を確保したことにはなりません。

 

では、まだ他に申込みをしている人がいなくて、すぐに契約ができる状態の場合どうでしょうか。申込者が自分だけだと思うと、早く契約をして抑えたいと思いがちです。

 

もし、すぐに物件契約をしたとすると、物件取得費用として以下のような費用が発生します。

・保証金(敷金)
・礼金
・仲介手数料
・前受金
・保証会社への支払い

 

たとえば保証金(敷金)が6か月、礼金が1か月とすると、家賃20万円の物件を取得するには、140万円以上の支払いが発生します。まずこのお金を自己資金から出す必要があります。

 

物件契約をした場合、万が一融資に落ちてしまっても、すぐに退去することはできません。多くの不動産では次の募集をとるために、解約は数か月前に通達するように定めています。

 

つまり、解約したいと申し出ても数か月間は空家賃の支払いが発生するのです。20万円の家賃の物件を解約したい場合、仮に半年後に退去と考えると120万円は出ていくことになります。

 

このケースで資金調達に失敗したら、トータルで280万円以上の費用が飛ぶことになります。そうなると、自己資金が減るわけですから、新しい物件を見つけたとしてもすぐに再挑戦できません。

 

大家さんの立場から見た物件契約

逆に、サロンオーナーがすぐに契約をしたいと思っていても、大家さんがNGを出すケースもあります。大家さんの立場に立つと、家賃を継続的に支払える人に貸したいのです。

 

「自己資金300万円で初めて開業します」という人には、そもそも魅力を感じません。これからサロンオーナーになる人は、資金が不十分のうえ、経営の経験がないからです。

 

したがって、大家さんは不動産会社を介して、サロンオーナーに事業計画書の提出を求めたり、保証会社に入ってもらうように要請したりします。

 

また大家さんは、所有物件をいろいろといじられるよりも、そのまま使ってもらえる業種を好む場合もあります。

 

たとえば、事務所使用の物件に美容室が入る場合には、天井や壁を壊したり、ボイラーを設置したりして工事が増えます。そうすると、大家さんとしては事務所として入ってくれる人を優先します。

 

こうしたリスクを嫌って、“美容室として使う場合には保証金(敷金)を上げる”という大家さんもいます。

 

融資担当者の立場から見た物件契約

物件契約をしてから融資を受ける場合、面談で突っ込まれる場合があります。融資担当者からすると、まだ融資を決定していないのに、自己資金だけで契約を済ませてしまうのはリスクがあると考えるのです。

 

面談で話していても、契約に至った経緯やその後の展開などを明確に話せないと、無計画なオーナーと思われるかもしれません。

 

融資担当者は、事業計画書と面談だけで融資を決めるわけではありません。担当者は現地に行って物件を確認します。そのとき、物件の立地がふさわしくないと判断されると融資を見送られるリスクもあるのです。

 

申込み→融資審査を迅速に行う

これまで見てきたように、よい物件があっても、すぐに契約をすることはかなりリスクがあります。それでもせっかくよい物件に巡り合えたのだから、そこで契約をしたいと思うのももっともです。

 

では、どうしたらよいのでしょうか? それは“申込み”と“融資”の間隔を短くすることです。

 

よい物件が見つかったと言ってご来場される人の多くは、事業計画書を作成していません。融資を受けるには、事業計画書を作る必要があります。

 

事業計画書を作成していないと、

物件申込み ⇒ 事業計画書の作成 ⇒ 融資面談 ⇒ 融資決定 ⇒ 物件契約

になります。

 

しかし、もし事業計画書を先に作っておけば、

事業計画書の作成 ⇒ 物件申込み ⇒ 融資面談 ⇒ 融資決定 ⇒ 物件契約

という順番になります。

 

申込みから面談までの時間を短縮できます。

 

融資審査は申込みから融資決定まで約1か月かかります。不動産会社にも、「1か月後には融資が決定します」と言えるのです。

 

融資スケジュールを不動産会社と共有できることで、契約できそうな期間が明確になります。

 

逆に、「これから事業計画書を作って面談しに行きます」ですと、事業計画書の作成に時間がかかれば面談自体も遅くなります。具体的な契約日が設定できなくなります。

 

すぐに面談に動けるようにしておくことは、大家さんを待たせる時間を短縮するだけでなく、不動産会社との信頼関係を結ぶのにも大事なのです。

 

まとめ:事業計画書は早めに仕上げる

いくら理想の物件が見つかっても、資金調達のめどが立ってからでなければ契約をすべきではありません。

 

素早く物件を確保するためには、あらかじめ事業計画書を作成しておいて、物件の申込みと同時に融資審査を受けられるよう段取りを組むことが必要です。

 

万が一、「もう物件を待つことができない」と言われたら、交渉が必要になります。

 

たとえば、保証金(敷金)の一部を先に支払うことで物件を契約する意思を示し、他からの募集をストップしてもらいます。

 

また、契約を結ばざるを得なくなった場合には、「融資が通らなかったら解約できる」という項目を契約書に入れてもらうなどして、リスク管理を行ったうえで契約を結びましょう。

 

いつ理想の物件に出会えるかはわかりません。物件が出てきてから動き出すのでは遅いのです。できるだけ早く物件契約できるよう、事業計画書はすぐにでも作っておくべきです。

 

●文/コンシェルジュ室:安斎

 

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不動産会社 物件契約 融資

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