開業サポートから見えたサロンオーナーになるための“必須条件”
前回の記事では、サロンオーナーたちが独立したときの年齢についてまとめました。美容師としてのキャリアが独立のきっかけになりうることは確かです。
しかし、サロンオーナーになるというのは、“経営者になる”ということです。
美容師としての資質だけでなく、サロンを経営していくための能力を備えておく必要があります。
今回は、私たちが行う多くの開業サポートを通じて感じた、サロンオーナーになるために必要な条件をまとめてみました。
技術力・接客力
ある程度キャリアを重ねれば、技術も接客も一定のレベルになるでしょう。多くのお客さまをこなしていると、自信も湧いてくると思います。
ただし、あくまで技術力・接客力を評価するのはお客さまです。結果を出さなければいけません。融資面談でも「指名客の数」や「個人の売上」を問われます。
「自分の技術はいくらなのか」「どのくらいの人が評価してくれているのか」。
この数字を意識して仕事に取り組みましょう。
プレゼン力
事業計画書の作成や融資面談、内装デザインの打ち合わせなど、開業の準備段階から、サロンオーナーは自分の考えるサロンについて相手に伝える必要があります。
また、サロンを経営していく中で、スタッフやお客さまにもサロンコンセプトなどを伝えていかなければいけません。
普段の会話とは違う内容を言語化するのは容易ではありません。まずは紙に書き出したり、人に話したりしてみましょう。
向上心
美容師としての技術・旬のスタイル・新しい商材などにアンテナを張っているのは当たり前ですが、オーナーになると、会計や労務など経営に関わる仕事も増えます。
もちろん向き不向きがありますが、自ら学ぼうとしないと、税理士や社労士に丸投げの状態になってしまいます。
自分のサロンをずっと繁盛させていくためには、人に任せるだけでなく、オーナー自身も日々進化していく必要があるのです。
「経営についての本を読む」「セミナーに参加する」「知り合いに教えてもらう」など、興味をもって学びましょう。
決断力
オーナーの仕事は“決めること”に尽きます。サロン名から借入金額、オープン時期、メニュー価格、スタッフの給与などあらゆることを決定していきます。
決断は簡単なものもあれば難しいものもあります。どんなに悩んでも最終的には自分が決めなければいけません。
オーナーになれば、多くのビジネスパートナーがアドバイスや提案をしてきます。スタッフからも要望が上がってきます。
こうした声に対して、すべて鵜呑みにしていては混乱してしまいます。
意見を受け入れるのか断るのかも、自分で決めるのです。
大事なのは、その決定に対して自分で責任をとることです。たとえ売上が伸びなくても、トラブルが発生しても、誰のせいでもありません。
何があっても最終的な責任は自分が負うという覚悟が必要です。
まとめ
私が実際に開業サポートをしたオーナーの特徴をもとに、独立に必要な条件を書いてみました。「こんな条件も必要では」と思う場合にはそれも加えてみてください。
これらの条件は、経験や学習で身につくものです。開業の準備を一緒にしながら会計知識を身につけたオーナーもいます。決断力がついたと実感したオーナーもいます。
仮に条件を満たしていなくても、「自分は独立に向いてない」と思う必要はありません。独立のために日々の生活の中でオーナーとしての能力を磨いていきましょう。
●文/コンシェルジュ室:安斎
ビューティガレージ コンシェルジュ室
日本最大級のプロ向け美容商材のオンラインショップ&ショールームを運営する株式会社ビューティガレージで、サロンの開業・経営支援のコンサルタント業務を担当。
15年以上のサポート実績と、数多くの開業事例、データに基づいた分析で、年間600件以上の開業に携わっています。
事業計画書の作成からお店のオープンまで、サロンオーナーと二人三脚で開業準備を行う「開業プロデュース」が好評。成功サロンを多数輩出しています。