厳しい状況でも生き延びるための戦略!開業時の運転資金の重要性とリスク管理
コロナウイルスの影響で資金繰りが悪化している事業主が増えています。あらためて資金繰りの大切さを痛感しています。
先日、お客さまから「開業時にはどのくらいお金を持っておいたほうがよいのか」という質問をいただきました。
SALONスターターでは固定費の3ヶ月~6ヶ月分を現金で持っておくべきと伝えていますが、今回は少し細かく見ていきましょう。
実際、そのお客さまは「借入時の負債はどうなるか」「自分の生活はどうなるのか」といったところまで心配されていました。
サロン、借金、生活、開業計画ではこのすべての資金繰りを考えなければいけません。
固定費はサロンの維持費
サロンの経費は固定費と変動費に分けることができます。固定費はサロンを維持するための費用、変動費はお客さまにサービスを提供するための費用と考えます。
サロンの維持に欠かせないもの。それはハコ(家賃+光熱費)と人(人件費)になります。
家賃を払えなければその場所で営業することができません。人がいなければサービスを提供できません。
この経費こそが、まずは一番に確保しなければいけない費用と言えます。
一方、変動費はお客さまが来なければ発生しない費用です。商材や消耗品、お客さまが読む雑誌など、こうした費用はいつでも減らしたり止めたりできます。
広告費はどうでしょうか。ホットペッパーなどは毎月定期的に支払うものと考えると固定費でしょう。
しかしながら、お客さまが全く来ない場合「やめることができる」のであれば変動費とみなしてもよいでしょう。
例えば、
家賃:15万円
人件費:スタッフ2人(45万円)
光熱費:2万円
であれば、62万円が固定費になります。
その3ヶ月分とすると、180万円が運転資金(現金)として残しておくことが最低限必要になります。
制度を利用して負担を減らせる返済金
固定費の次に大事なのは返済金です。借入金は他者のお金です。これが滞ることは信用の問題にかかわります。
できるだけ約束の期日に返せるように努めなければいけません。
返済金は支払い利息と元金に分けることができます。
例えば、2.1%の固定金利で1000万円を10年で借入する場合、月々の返済額は約92,462円(息16,774円、元金75,687円)。※元利均等返済でシミュレーションを行った結果。
年間では100万円以上の返済が予想されます。固定費3ヶ月分に加えて100万円分も現金として確保できていると理想的です。
ところが、固定費に比べて返済金に関しては少し融通が利きます。据置期間といって、一定期間元金の支払いを先延ばしすることができるのです。その期間は利息だけを支払えばよいのです。
例えば、このケースですと、6か月の間据置期間を設けることによって75,687円×6ヶ月=454,122円も支払いを減らすことができるのです。
こうした特性をうまく活かすことで、現金を手元に残していきましょう。
生活費は自分以外の人にも依存する
当然ですが、サロンは維持できても自分の生活が立ち行かないのでは本末転倒です。サロンを諦めて手放すこともあり得ます。
自分の生活を維持するにも、家賃や自動車ローンといった必ず支払いが発生するものがたくさんあります。こまかく生活費を見直して費用を明らかにしておきましょう。
ただし生活費の資金繰りは事業とは異なり、周囲への協力を求めることができます。
「配偶者が共働きである」「親族が生活費を出してくれる」など、自分の事業がうまくいかなくても、最低限生活ができる環境を協力者と話し合っておくべきです。
運転資金で死守すべきは固定費
資金繰りの目的は「売上がゼロの時にもサロンを維持できること」です。
開業を計画している人は、想定される固定費を把握して、いくら現金として残すべきかを真剣に考えましょう。
「固定客がいるから利益を見込める」とたかをくくって、開業資金を切り詰めて、運転資金を確保せずスタートをしてしまうと、コロナウイルスのような事態が起きたときに、数ヶ月ももたずサロンをたたむ可能性がでてきます。
ビューティガレージでも、お客さまと収支シミュレーションを行い必要な運転資金などを算出いたします。オンラインでの相談も可能になりました。ぜひ開業無料相談をご利用ください。
●文/コンシェルジュ室:安斎
ビューティガレージ コンシェルジュ室
日本最大級のプロ向け美容商材のオンラインショップ&ショールームを運営する株式会社ビューティガレージで、サロンの開業・経営支援のコンサルタント業務を担当。
15年以上のサポート実績と、数多くの開業事例、データに基づいた分析で、年間600件以上の開業に携わっています。
事業計画書の作成からお店のオープンまで、サロンオーナーと二人三脚で開業準備を行う「開業プロデュース」が好評。成功サロンを多数輩出しています。