覚えておきたい!美容室開業にかかわる民法改正【不動産契約】

公開日:2020/06/04  更新日:2020/06/04
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2020年4月に民法が改正されました。美容室の開業に関わるところでは、事業用の不動産契約についていくつか変更点がありました。

 

連日コロナ関連のニュースが続いていて、4月1日の民法改正もあまり話題になりませんでしたが、美容室を開業するにあたって物件の取得は不可欠です。

 

そこで今回は、民法改正について、不動産契約の変更点のポイントと注意点をお伝えします。

 

連帯保証人の保護

事業用不動産契約においての変更点のポイントは連帯保証人です。物件契約時に「貸主、借主双方が、連帯保証人に合意をとってください」ということです。

 

そもそも連帯保証人は、契約者が支払いできない家賃や原状回復に関する支払いを、契約者に代わって責任を負うことになります。

 

連帯保証人とはとてもリスクの高い役割なのです。

 

契約者の滞納した家賃がどんなに高額になった場合でも、貸主側は連帯保証人に請求できます。そして連帯保証人は抵抗することができません。

 

民法改正は、こうした連帯保証人のリスクを軽減する措置を貸主側に課すことになります。

 

つまり、貸主側が無制限に連帯保証人に責任を押し付けない仕組みを作ったということです。

 

極度額を設ける

今回の民法改正により、不動産契約締結時に、連帯保証人の責任限度額=極度額を定めることが義務化されました。

 

契約時には、連帯保証人が支払うべき保証金の上限を決めなければいけません。この極度額が記載されていない契約は無効となります。

賃貸契約書には、以下のような文言が入ることになります。

 

連帯保証人は、甲(賃貸人)に対し、乙(賃借人)が本契約上負担する一切の債務を極度額200万円の範囲内で連帯して保証する。

 

極度額設定については特に法律上で定めていません。賃貸人と連帯保証人の間で合意した金額を自由に設定することになります。

 

当然、貸主側は多く取りたいと思います。でも連帯保証人が尻込みする額であれば合意にいたりません。

 

このあたりは管理会社も試行錯誤をしているようです。家賃の10ヶ月〜12ヶ月分くらいを極度額に設定しているところが多い気がします。

 

管理会社は家賃の滞納だけでなく、原状回復工事にかかる費用なども考慮に入れて極度額を決めています。

 

契約書に連帯保証人が負うべき責任の金額が明記されることになりました。

 

金額を見て驚くかもしれませんが、上限が明確になるということは、その金額以上に請求されることがないということですので、連帯保証人としてはいいことです。

 

賃借人から連帯保証人への情報提供の義務化

今回の民法改正では、借主から連帯保証人への情報提供も義務化されました。

 

連帯保証人になる人に「本当にこの人の連帯保証人になるべきかを判断できる材料を渡してください」ということです。

 

先述したように連帯保証人が背負う責任は非常に重く、軽々しく引き受けることのできるものではありません。

 

自分と一緒になって、責任を追ってくれる人へ、自分の状況を包み隠さず伝えるのは当然のことだとも思います。

 

具体的には5つの項目に関わる情報を提供します。

 

1)賃借人の財産状況

2)賃借人の収支状況

3)賃借人の債務状況

4)賃借人の債務返済状況

5)貸主に担保提供している場合には、その担保情報

 

もしも、連帯保証人が借主から情報を提供されず、誤った判断で連帯保証人を引き受けた場合、連帯保証人は、連帯保証人契約を取り消すことができます。

 

賃貸保証会社

上記で見てきた「極度額の設定」「借主からの情報提供」は、あくまで個人が連帯保証人になる場合です。

 

民法改正では賃貸保証会社のような法人が連帯保証人の場合には、極度額の設定も不要ですし、情報提供の義務も発生しません。

 

多くの開業者は連帯保証人を親族にお願いします。ですので、こうしたルールが敷かれると「親族への気遣いから連帯保証人をつけたくない」という人も出てくると思います。

 

その場合には、賃貸保証会社を利用したいと訴える人も増えていくでしょう。

 

しかしながら、賃貸借契約では貸主側が、賃貸保証会社と連帯保証人両方を求めるケースが多いようです。

 

特に事業用物件は、借主のビジネスがうまく行かない場合に、家賃の支払いが困難になります。貸主としてもリスク管理が求められているのです。

 

したがって「極度額の設定」「借主の情報提供」は避けられないと思います。

 

まとめ

民法改正で、不動産契約は貸主と借主だけでなく、連帯保証人の合意も必要になりました。

 

多くの開業者は、賃貸契約において親族を連帯保証人につけることになります。親族は開業者にとって一番大切なサポーターです。

 

不動産契約を結ぶ場合には、自分の状況を知らせておきましょう。

 

これは不動産契約に関わらず、開業に関わる事業者との取引でも同じです。協力者への情報提供は重要です。

 

自己開示はトラブルを予防する手立てになります。まずい情報ほど、関係者へ早めに伝えるようにしましょう。

 

 

●文/コンシェルジュ室:安斎

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ビューティガレージ コンシェルジュ室

日本最大級のプロ向け美容商材のオンラインショップ&ショールームを運営する株式会社ビューティガレージで、サロンの開業・経営支援のコンサルタント業務を担当。

15年以上のサポート実績と、数多くの開業事例、データに基づいた分析で、年間600件以上の開業に携わっています。

事業計画書の作成からお店のオープンまで、サロンオーナーと二人三脚で開業準備を行う「開業プロデュース」が好評。成功サロンを多数輩出しています。

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