内装費が高すぎる?坪単価のカラクリと費用を決定するために大事なこと

公開日:2020/10/08  更新日:2020/10/08
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美容室の開業で一番お金がかかるのが内装費です。私達がサポートする案件では、開業費用における約50%が内装費になっています。

 

内装は対象となる物件を調査するまで「いくらかかるか」がわかりません。また、実際に工事をしなければ費用がわからないこともあります。

 

しかし、計画の段階では予算(開業に使うお金)を決めておく必要があるので、ざっくりと計算しておきます。そこで用いられるのが【内装費=広さ×坪単価】という式です。

 

内装にかかる平均の坪単価を抑えておけば、その物件の広さからだいたいの費用がわかるという考え方です。内装業者に聞かなくても、ネットで調べれば美容室内装にかかる坪単価を知ることができます。

 

しかし一方で、坪単価にとらわれてしまい、実際に出てきた見積もりが予想以上になっていると「高すぎる」と感じて物件を諦めてしまったり、別の業者に依頼し直したりするケースもあります。

 

坪単価を基準にして物件を選んだり、内装業者を選んだりするのは、理想のサロンから遠ざかってしまう考え方です。

 

今回は、内装費用を考える上で、坪単価がもたらす弊害と冷静に内装費を決めていくプロセスについてお伝えします。

 

坪単価は一つの作業で変わってしまう

まず注意しなければならないのは、内装費用は一つ一つの作業の積み重ねだということです。内装工事には、水道工事、電気工事、照明設置工事、仮設工事など様々な項目があります。

 

一つ一つの作業にかかる費用が大きいため、単価にも大きく影響します。

 

例を用いて説明しましょう。

 

10坪のサロンの内装費が400万円だったら、坪単価40万円です。その物件は事務所仕様だったので、天井が低く感じました。天井を壊して高さをだしたいと要望したとします。すると、天井の解体と運搬費用が60万円かかりました。

 

内装費は460万円になりますので、460万円 ÷ 10坪 = 46万円。坪単価は46万円になります。

 

たった一つの作業で単価は6万円も上がるのです。ここで言えることは、内装に関わる一つ一つの作業を検証しなければ内装費は定まらない、ということです。

 

坪単価はあくまで平均である

開業無料相談でも開業費用のシミュレーションを行うときに内装の坪単価を伝えます。坪単価はあくまで、タフデザインプロダクトで内装を行ったケースでの平均です。

 

平均とは真ん中という意味ではありません。2つの案件から平均坪単価を出すとき、次のA,Bはどちらも40万円です。

 

A)坪単価20万円と60万円の平均

B)坪単価35万円と45万円の平均

 

しかし、AとBでは全く意味合いが違います。Aはなんと2つの案件で40万円も違います。

 

内装費は物件のスペックや年数に大きく左右されますので、A)のようなばらつきの大きい平均値になるのです。坪単価で期待していると、実際の見積もりが平均を大きく上回ったときに「ぼったくられた」と思ってしまいます。

 

平均よりも高いことは十分あり得るのです。

 

アンカリング効果がある

アンカリングとは「最初に提示された数字や条件が基準になり、その後の判断が無意識に左右されてしまう」という心理です。坪単価を最初に聞いてしまうと、どうしても無意識にそれを基準に判断してしまうのです。

 

内装デザインに関しては、オーナーと内装施工業者に情報の差があります。内装施工業者は価格をコントロールすることなどたやすくできてしまいます。

 

例えば、本当は坪単価40万円程度の工事になる案件があったとします。しかし工事業者から「この物件だと設備がひどくて坪単価が60万円になりそうです」と指摘されました。その後で「なんとか割引をして坪単価45万円まで落とせますよ」と言われたらどうでしょう。

 

最初の60万円が45万円になると聞けばとても安く感じます。ところが工事業者は40万円で請け負うものを45万円にして利益を得ることができるのです。

 

そんな悪徳業者はいないと思いますが、坪単価だけを見るということは工事内容の説明を聞かずに条件反射で動いてしまう可能性があるということです。

 

思い込みの心理によって客観的な評価ができなくなることを忘れないようにしましょう。

 

内装費用を決定していくためのプロセス

坪単価を見て判断するときの弊害について書いてきましたが、内装費はどうやって決めていけばよいのでしょうか。私は3つのステップがあると思っています。

 

自己資金+借入金から導かれる上限額を決める

まずは自分の身の丈にあった費用でなければいけません。身の丈にあったというのは、借入の可能性を含めた開業に使える限度額です。

 

美容器具やその他設備、運転資金などのバランスを調整して、内装費の上限が決まります。その上限を守って、デザイナーから提案された見積もりを検討しましょう。

 

上限を超えている場合には、内装にかかる作業を一つ一つ検証しながら妥協できる部分を見つけていきます。

 

投資という考え方で決める

美容室の内装は電気・ガス・水道といったインフラが命です。ここにかかる費用を削ることはできません。インフラ整備のために費用が上限を超えてしまう場合には「この物件で開業すべきか」を考えます。

 

そこでは、内装は設備投資であるという視点が欠かせません。つまり初期費用を増やしても営業利益が出せるのであれば、上限以上の内装費であっても進めていきます。

 

その場合には、資金が不足するので借入額を増やしたり、親族から支援をお願いしたりします。借入額を増やす場合には当然、儲けが出るための根拠や、何年でリターンを得られるかの予測を計画書に入れなければいけません。

 

代替案も考えて決める

もし、資金を増やせなかった場合には、リースや割賦という手段を使います。内装費用を分割にするのは額が大きいので難しいですが、内装費でトータルの開業費用が増えた分、美容器具やその他設備を分割にすることによって初期費用を抑えることができます。

 

また場合によっては、上限までの費用で工事をして、残りは自分の手で仕上げるという案もあります。実際にそういうオーナーもいらっしゃいました。ものづくりが好きなオーナーは壁の塗装を自分でやっていました。

 

坪単価に惑わされずデザイナーと知恵を絞ろう

坪単価はあくまで参考基準です。坪単価に引っ張られすぎると、冷静に内装デザインにいくらかけるべきかが、考えられなくなります。

 

まず、現地調査の結果を受け止めて、一つ一つの作業がどんなものなのかを聞きましょう。作業一つで単価が変わります。「仕切りの壁を設ける代わりにカーテンにする」「シャンプーキャビネットを作らず、ワゴンを買う」など、内容次第で費用は変わるのです。

 

また、どうしてもインフラ設備の問題で内装費が上がってしまう場合は、本当にその物件でやるべきかを検討しましょう。「上限を超えた額を投資したときに十分に利益が出るか」が一つの判断基準になります。

 

判断のプロセスはデザイナーとの共同作業になります。一人で考えるのではなく、パートナーと知恵を絞って「どうやったら予算内に収まるか」を考えていきましょう。

 

●文/コンシェルジュ室:安斎

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ビューティガレージ コンシェルジュ室

日本最大級のプロ向け美容商材のオンラインショップ&ショールームを運営する株式会社ビューティガレージで、サロンの開業・経営支援のコンサルタント業務を担当。

15年以上のサポート実績と、数多くの開業事例、データに基づいた分析で、年間600件以上の開業に携わっています。

事業計画書の作成からお店のオープンまで、サロンオーナーと二人三脚で開業準備を行う「開業プロデュース」が好評。成功サロンを多数輩出しています。

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