判断基準を明確にしよう!物件選びでの事業計画書の活かし方

公開日:2021/02/24  更新日:2021/02/24
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
美容室 開業 内装 デザイン

「目ぼしい物件が見つかった」といって開業相談に来られる方も多くいます。しかし実際に事業計画書を作ってみると「その物件で開業するのはリスクが高い」と判断して流れることもあります。

 

物件選定の段階では事業計画書がある程度できあがっていることが理想です。

 

事業計画で決めたターゲット・コンセプト、開業予算、収支シミュレーションをもとに物件選定の判断基準を明確にすることが失敗しない開業のセオリーです。

 

物件を決めてから事業計画書を作ると、無理やり物件にあわせることなり理想のサロンが作れなくなります。今日は、事業計画書と物件選定の関係についてお話します。

 

コンセプト・ターゲットから判断する

 

まずはある物件の情報を見てください。

・駅から徒歩5分

・繁華街の中

・商業ビルの2F

・1階は中華料理屋、3F、4Fがバーとラウンジ

・15坪

・家賃15万円

この条件の物件で、主婦層を狙うサロンはうまくいくでしょうか。このエリアに住む主婦層が、駅近くの繁華街に足を運ぶことはなかなか想像できないと思います。

 

ターゲットを考えずに物件を決めてしまうと、このテナントに来そうな人は誰かを考えて計画を立てなければいけません。この物件の場合、例えば仕事帰りの男性が中心になってしまうのではないでしょうか。

 

では次の物件はどうでしょう。

・駅から徒歩12分

・マンションが立ち並ぶエリア

・近くにはお店が殆どない。夜も人通りが少ない

・15坪

・家賃12万円

この条件では、仕事をしているOLさんをターゲットにするのは厳しそうです。駅から離れているし、夜道が不安になります。この物件を選ぶならば、近隣の住民で平日の昼間から来店できる主婦層がふさわしいでしょう。

 

コンセプトとターゲットが最初に決まると、ターゲットにふさわしい物件かどうかという判断基準が明確になります。それだけでやみくもに物件を探す必要がなくなります。

 

先にコンセプトとターゲットを決めて、そのターゲットが通いやすい立地を考えるべきです。

 

開業予算から判断する

コンセプトを作りターゲットを明確にすることで、物件を絞ることができました。そしたら次に、その物件を借りる場合の費用に焦点を当ててみます。

 

つまり物件取得費用と内装費です。

 

物件を契約するときには家賃の何倍ものお金を支払います。店舗保証金、礼金、仲介手数料など様々な費用が発生するからです。以下AとBを比較してください。

A 家賃10万円の物件

・店舗保証金6ヶ月分

・礼金1ヶ月分

・仲介手数料1ヶ月分

・保証会社への支払い1ヶ月分

・前払家賃1ヶ月分

 物件取得費用:100万円

 

B 家賃15万円の物件

・店舗保証金3ヶ月分

・礼金0

・仲介手数料1ヶ月分

・保証会社への支払い1ヶ月分

・前払家賃1ヶ月分

物件取得費用:90万円

 

Bのほうが家賃は高いけれども取得費用が安くなっています。資金計画の場合、家賃だけではなく取得費用を見なければなりません。

 

例えば、資金計画で開業費用を1300万円を上限にします。自己資金が300万円、借入1000万円で考えています。設備資金を以下のように計画したとしましょう。

 

【セット面4席、シャンプー2台の計画】

・物件取得費用200万円

・内装費650万円

・美容器具その他設備150万円

・設備資金1000万円で計画

 

今度は、実際に見つけた物件で見積もりをとってみました。

・物件取得費用120万円

・内装費730万円

・美容器具その他設備150万円

・設備資金1000万円になりそう

内装は予算オーバーするけど、物件取得費用が抑えられていると、設備資金が予算内に収まります。この場合には「行ける」と判断できます。

 

もしも、物件取得費用が250万円、内装費が750万円になったらどうでしょうか。どちらも予算オーバーすることになり、設備資金が1000万円を超えることになります。そうするとその物件での開業は現実的に難しいとなります。

 

このように、限られた予算の中でサロンを作れるのかどうかも一つの判断基準になります。

 

収支シミュレーションから判断する

次に家賃に焦点を当ててみます。

 

家賃はサロン経営で必ず発生する固定費です。売上が見込めなければ家賃がかなりの負担になります。家賃はおよそ売上の10%が理想です。

 

つまり家賃の10倍の売上が出せるサロンかどうかです。家賃が15万円であれば150万円の売上、30万円であれば300万円の売上を見込めるかが、一つの判断になります。

 

とはいえ、オープン後すぐに家賃の10倍の売上を作るのは困難です。大事なのはその売上のプロセスを描けるかどうかです。

 

こちらも例を用いて考えましょう。以下の条件で物件を借りるかどうか。

・駅から徒歩5分

・大通りから中に入った路地の路面店

・広さ:14坪(セット面4席 シャンプー2台)

・家賃:20万円

・スタート時は1人でスタート。実際は80万円〜100万円が限界。

・半年後にはスタッフが2人入る予定。二人で100万円は見込めそうだ。

オープン後半年は1人でお店を営業します。100万円の売上でも20万円の家賃を払っていくことで利益が十分にでるかどうかを計算しなければなりません。

 

駅から近く、現勤務先の固定客も期待できるため、ホットペッパーは少し小さいプランで始めても良さそうです。さらにまだスタッフがいませんので人件費も発生しません。

 

シミュレーションの結果、見込み売上が80万円あればなんとか十分な利益が出せることがわかりました。ここまでしてようやく「20万円の家賃でもやっていけるかどうか」の判断が可能になります。

 

さらにいえば、開業予算がオーバーしたとしても十分利益が見込めるならば「多少費用がかかってもここで開業すべき」と判断できます。

 

物件選定も事業計画書が基本

ここまで見てきたように、物件選定の基準はすべて事業計画書がベースになっています。

 

サロンコンセプトやターゲットを決めることでどういう立地を探せばよいかがわかります。

 

資金計画を作ることで身の丈になった物件を探せるようになります。

 

収支シミュレーションを行うことで、家賃の支払いが負担にならないかどうかを予測することができます。

 

開業を決意して、物件を探そうとしている人は、同時に事業計画書も作成しましょう。事業計画書に関してお悩みの方は開業無料相談にお問い合わせください。

 

 

●文/コンシェルジュ室:安斎

 

※複数の物件で悩まれている人はこちらの記事もおすすめです。

理想のサロンに出会えない! 物件選びで失敗しないための判断基準作り

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

ビューティガレージ コンシェルジュ室

日本最大級のプロ向け美容商材のオンラインショップ&ショールームを運営する株式会社ビューティガレージで、サロンの開業・経営支援のコンサルタント業務を担当。

15年以上のサポート実績と、数多くの開業事例、データに基づいた分析で、年間600件以上の開業に携わっています。

事業計画書の作成からお店のオープンまで、サロンオーナーと二人三脚で開業準備を行う「開業プロデュース」が好評。成功サロンを多数輩出しています。

関連記事

開業事例