自分の経験が根拠になる!融資担当者を説得させる収支計画の立て方

公開日:2021/05/18  更新日:2021/05/18
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美容室 売上

事業計画書に入れるべき項目」という記事を書きました。

 

その中で開業者が一番苦手にしているのはおそらく収支計画なのではないでしょうか。

 

収支計画は将来の予測です。

 

実際に計画通りにいくかどうかは誰にもわかりません。

 

どんなサロンを作りたいか、予算をいくらに設定するかはオーナーの意思で決まります。

 

また職務経歴や開業のきっかけもオーナーの過去とこれまでの経緯です。

 

しかし収支計画だけは未来のことを書かなければなりません。

 

融資担当者は「本当に儲かるサロンかどうか」を見極めるために収支計画を重視します。

 

しかし実際、融資担当者もそのサロンが成功するかどうかはわかりません。

 

では、収支計画のどの部分を見て融資の判断をするのでしょうか。それは計画の根拠です。

 

今回は、収支計画の立て方をお伝えします。

 

まずは経費を固める

収支計画で予測が立てやすいのは経費です。

 

家賃や人件費などの固定費は一度決まってしまえば計画からずれることはありません。

 

変動費についても、完全に把握することはできないにしても、おおよその売上比率を決めれば、努力によってコントロールしやすいものです。

 

例えば原材料費は売上の10%に抑える。消耗品費は5%に抑えるなど、比率を作っていきまます。

 

以下のように、固定費は金額で変動費は率で出してみましょう。

 

収支計画

 

見込み集客を参考に客数を設定する

次に売上を作っていきます。売上は客数×客単価で計算できますので、①客数と②客単価を設定していきます。

 

設定する客数には根拠が必要です。以下は数字の根拠になる事例です。

 

現サロンからの指名客

 ⇒月の指名客は100人

 ⇒全員に開業の案内ができる

 ⇒うち10年来のお客さまが7割

 ⇒70人は固い

 

スタッフの指名客

 ⇒月の指名客は120人

⇒開業場所と離れているため3割程度を見込む

 ⇒40人を予想

 

 ホットペッパー

 ⇒ 同エリアの○○プランの新規客は平均20人

 ⇒ 競合よりも低価格で訴求できる

 ⇒ 30人

 

 チラシ

 ⇒ 1ヶ月前からポスティング10,000枚を実施

 ⇒ 期待できる戻り率0.3%(前サロンでの経験)

 ⇒ 30人

 

こうした根拠をもとに算出した見込み集客を合わせてみます。

 

合計が70+40+30+30=170人になりました。まず初月の客数を170人を目標に設定しました。

 

今度はこれを1日にならしてみて、現実的かどうかをみましょう。25日営業の場合は170÷25日=6.8人です。

 

2席が稼働しますので、スタイリストが1日に施術するのは3.4人です。これを今のサロンでの施術人数と比較してみましょう。

 

これまでの経験からこの客数の妥当性を判断します。

 

単価を割り出す

次に単価を計算します。単価の算出は以前記事にも書きました。

 

客単価は、単品メニュー価格×利用率の合計です。

 

  ・カット 5,500円 利用率90% =4,500円

  ・カラー 6,000円 利用率50% =3,000円

  ・パーマ 8,000円 利用率10% = 800円

  ・トリートメント2,000円 利用率10%=200円

 

4,500円+3,000円+800円+200円=8,500円。したがって平均単価は8,500円になります。

 

単価ついても妥当性を確認していきます。

 

自分が想定している単価になっているか。現サロンの単価と比べて高すぎないか。

 

スタイリストもオーナーと同じようにできるかどうか。

 

もし大きく違っているならば、どこか割合がおかしいのかもしれません。

 

収支計画を完成させる

客数と単価が完成したら、その数字を使って売上を出します。

 

また店販商品での売上も見込んでいる場合には、下記のように来店客の何パーセントが購入するかと平均単価を用いて店販売上を作ります。

売上

 

売上を立てたら経費とくっつけてみましょう。

 

変動費率はこの売上によって実際の金額が算出されます。ここで大切なのは営業利益が十分にでているか、借入返済後に現金が残るかです。

 

収支計画

 

ここが少ない場合には、もう一度「経費」から見直ししていきましょう。

 

どうしても赤字になってしまう場合には、何ケ月後に黒字になるのかも計画を立てなければなりません。

 

数字に根拠があると現実的になる 

収支計画は少なくとも1年間分は作ります。以下のように1ヶ月ずつ数字を出していきます。

 

計画

 

たとえ初月で赤字を予測しているとしても、数ケ月後には黒字に転換できることを示すことができれば融資担当者は安心します。

 

そこでもやはり根拠が必要です。

 

開業者の根拠は自分のこれまでの実績と経験しかよりどころはありません。

 

それゆえ自分のキャリアの棚卸はとても大切です。

 

単に「指名客の数」だけでなく、「新規集客のノウハウ」や「リピート施策」など、あらゆるところで自分の経験がもとになります。

 

数字に根拠を持たせることで現実的な計画を立てることができます。

 

根拠をもとにしっかり考えた現実的な計画であれば、融資担当者に「このサロンはうまく行く確率が高い」と思わせることができるはずです。

 

 

●文/コンシェルジュ室:安斎

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ビューティガレージ コンシェルジュ室

日本最大級のプロ向け美容商材のオンラインショップ&ショールームを運営する株式会社ビューティガレージで、サロンの開業・経営支援のコンサルタント業務を担当。

15年以上のサポート実績と、数多くの開業事例、データに基づいた分析で、年間600件以上の開業に携わっています。

事業計画書の作成からお店のオープンまで、サロンオーナーと二人三脚で開業準備を行う「開業プロデュース」が好評。成功サロンを多数輩出しています。

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