融資担当者も注目!「計画通りの売上は達成できるか?」根拠をもとに見込み客数を予測しよう
収支計画では、経費よりも売上を作るほうが難しいです。
なぜなら経費はオーナーがコントロールできる部分が多いですが、売上はコントロールできないからです。
サロンに来店するかどうかはお客さまが決めます。
したがって、売上計画は完全に予測でしかありません。
融資担当者にとっても収支計画は融資するかどうかの重要な判断基準です。
「計画通りの売上になりそうか」には当然注目します。
誰にも予想できない売上の計画を、どういう基準で審査するのでしょうか。
それは、計画で出だした数字の根拠や経緯をみるのです。
したがって収支計画を立てるときには「このくらいの客数が来るだろうと考えた理由」を示すことが大切なのです。
※参照
『自分の経験が根拠になる!融資担当者を説得させる収支計画の立て方』
自分の指名客を見込む
勤務先の指名客は、オープン後に来店する確度が高くて、予測しやすいと言えます。
それゆえ、もしサロンをオープンしたとしたら、指名客の何割が来店してくれるかを予想します。
例えば、現勤務先の指名客が10年来のお客さまで、かつ、出店エリアがー駅離れた場所だったとしたら、オープン後も来てくれる可能性は高そうです。
あるいは出店エリアが大きく変わっても、指名客の住まいや勤務先から電車ですぐ通えるところにオープンするとしたら、来店のハードルは下がると推測できます。
売上計画を作る際、指名客の数を把握しそのうち何割が来店してくれそうかを算出します。
そこでは、指名客への告知が可能かどうか、個人的な連絡先を知っているかなどは、来店予測を支える根拠となり得ます。
例えば、数カ月先まで予約を入れてくれているお客さまが数人いるだけで、それはオープン前に予約が取れていることですので、確実性が増します。
指名客の数をアピールするときには、自分の実績資料、告知の有無、事前予約の有無などが鍵になります。
家族や知人に来てもらう
来店への期待値が高いのは、開業者の家族や知人です。たとえ付き合いだとしても、オープン後1度は来てくれるものです。
「妻のママ友」「学生時代からの友人」「自治会のメンバー」など、家族や知人を見込み客として計算する場合には、具体的に話せるとよいでしょう。
「娘の通っている幼稚園の父母に告知できる」「地元の高校が近く知り合いが多いため、彼らに手伝ってもらい、その家族に来てもらう」
具体的であればあるほど、現実的な数字を出しやすくなります。
来店してくれそうな人の顔がイメージできます。
しかし、よほど広範囲につながりを持っている場合を除いては、家族や知人による来店はボリュームを期待できません。
ポータルサイトを活用する
新規客数の数をとるためには、やはりホットペッパーなどのポータルサイトの掲載も欠かせません。
ホットペッパーのような大きなメディアであれば様々なデータを持っています。
例えば、出店エリアでの集客効果から、新規客数の見込みを出せます。
ホットペッパーの担当者から「〇〇エリアの●●プランの平均新規客数は20人」といった情報がもらえたら、20人前後の新規客数が期待できます。
さらに、エリアでの競合状況なども参考にクーポン施策やプライシングを考えることができれば、20人以上の効果が期待できそうです。
ポータルサイトが持っている効果実績や競合状況などを資料として提出できれば、融資面談では十分に客数予測の根拠になります。
チラシや紙媒体を活用する
集客施策として、特に紙媒体の場合は予測が難しいです。
チラシを見たお客さまがいつ、どういった形で来店するかが想像できません。
チラシによって効果がどれだけ出せるのかの根拠は弱いと言えます。
ただし、どのくらいのボリュームをどこに配布するかという具体的な予定と想定している戻り率を自分なりに類推しておくことが大切です。
「〇〇エリアにチラシのポスティングを10,000枚。業者に依頼。戻り率は0.3%と想定して、30人の客数を見込む」
ここまで具体的に施策を出すと、実施後の効果検証がしやすくなります。
融資担当者にとっても、集客施策のイメージがわきます。
さらに言えば、チラシを見た人が予約サイトに遷移することも考えられるので、ポータルサイトの期待集客を少し増やすこともできます。
サロンの認知を図る目的でチラシを撒き、QRコードなどを記載してポータルサイトに誘導できるような工夫も必要でしょう。
SNS(自分メディア)による集客
「美容室ほどインスタグラムに力を入れているビジネスはない」と言ってよいほど、スタイリストによるSNSが盛んです。
すでに個人事業主として自分のSNSを活用している場合には、そこからの新規集客を見込むことも十分にできます。
ある以前サポートさせていただいたオーナーは、個人事業主としてインスタグラムから毎月30人ほどの新規問い合わせがありました。
フォロワー数が多ければ多いほど根拠としても強くなります。
SNSによる集客の根拠は実績ですので「これからインスタグラムで情報を発信していく」という人はやはり根拠が乏しいと言わざるを得ません。
集客施策には根拠が欠かせない
「お客さまが来るかどうか」
それはサロンがコントロールできません。そして融資担当者も予測ができません。
では、誰にも読めない客数、売上をどうして計画書に書かせるのでしょうか。
それは「事業計画を論理立てて作っているか」を確認するためです。
正確に予測できない以上、適当に数字を入れて収支計画を作ることも可能です。
しかし「適当に作った計画」よりも、「事実や論理から導き出した数字」のほうが、融資担当者から支持されます。
要するに、計画がうまくいくかではなく、計画をどのように立てたのかが大事なのです。
事実や論理をもとに作った計画はなぜよいのでしょうか。
それは、計画が仮にうまく行かなかった場合でも、原因を見つけ別の手を打つ時に、同様のプロセスを踏んで新たな計画を作ることができるからです。
逆に、立案プロセスがなく、適当に作った計画では、うまくいかなかった原因は見つけられません。
計画を何度も改善してくことで、成功する確率が上がると期待できるのです。
「客数には根拠を」
これを心がけましょう。
●文/コンシェルジュ室:安斎
ビューティガレージ コンシェルジュ室
日本最大級のプロ向け美容商材のオンラインショップ&ショールームを運営する株式会社ビューティガレージで、サロンの開業・経営支援のコンサルタント業務を担当。
15年以上のサポート実績と、数多くの開業事例、データに基づいた分析で、年間600件以上の開業に携わっています。
事業計画書の作成からお店のオープンまで、サロンオーナーと二人三脚で開業準備を行う「開業プロデュース」が好評。成功サロンを多数輩出しています。