融資審査でよくある勘違い!信用情報についての気になる疑問にお答えします。
信用情報が原因で融資審査に落ちてしまう人が相談に来られる時もあります。
信用情報とは金融機関同士が共有している、開業予定者のクレジットやローンの取引情報です。
クレジットカードで引き落としができなかった場合には「未払いが発生している」と信用情報に記録されます。
融資担当者は「開業予定者が約束通り支払いをできる人か」を見極めるために信用情報を調べます。
そういう話を聞くと、自分の支払い状況が気になりますし、意図的ではないにせよ「未払いがあったらどうしよう」と思います。
個人の支払い状況に関しては、よく開業相談でも質問を受けます。今回はそのあたりの疑問に答えるかたちで記事を書いてみました。
信用情報に関する記事はこちらもチェック!
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住宅ローンがあるから事業ローンは借りれない?
住宅ローンはローンの中でも金額が大きいため「これだけ残っていたらやっぱり借りれないですよね」と半ば諦めながら相談に来る方もいます。
しかし、住宅ローンがあっても事業用融資は通ります。
問題になるのは、住宅ローンの返済ができていない場合です。
日本政策金融公庫で融資審査を行う場合にはローンの返済予定表を提出します。その返済金が支払われているかを確認するためです。
融資担当者は、ローンの残高よりもローンの返済ができているかを見ています。
また、住宅ローンに加えて事業ローンが発生した時、その両方を返済できるだけの収入を得られるかもチェックされます。
例えば、収支計画書で月30万円の営業利益を見込んでいても、住宅ローン7万円、事業ローン9万円を返していくとなると、手元には14万円しか残らないことになります。
つまり収支計画はこの二つのローンを意識して立てないと審査担当者を納得させることができません。
住宅ローンがある場合には、①返済ができていること②事業ローンを加えても十分な営業利益をだせることに注意しましょう。
支払いがないほうが信用情報の面では有利?
例えば、実家で暮らしていて、家賃も水道光熱費も、あるいは自分の携帯料金もすべて親族が支払っているとします。
この方が唯一毎月支払っているのは給与から引かれる社会保険料や所得税です。
さらにクレジットカードを持っていないためすべて現金で支払っています。
こういったケースは信用情報の面では有利かという質問です。
未払いのリスクがないという点では安心ですが、有利にはなりません。「約束を守れる人かどうか」を判断する材料が少ないからです。
つまり審査自体がしにくいのです。
当然、税金や社会保険料の支払いも一つの信用情報になります。
しかし、家賃や光熱費、あるいは通信費といった今後店舗オーナーとして支払うべきお金をこれまで支払ったことがないというのはプラスにはなりません。
「支払い」はできるだけあったほうがよいのです。
確定申告で経費計上して所得が低いのは問題か?
フリーランスの美容師さんからよく聞く質問です。
所得税対策として、事業用の経費を増やして利益を少なく申請する人はいます。
それ自体がよいか悪いかはここでは述べませんが、確定申告では「税金の支払い」とは別のところをチェックされます。
つまり個人事業主としての実績です。
あるフリーランス美容師が店舗を構えるために借入を検討しているとしましょう。
フリーランス時代の確定申告書をみると、所得が200万円でした。しかし、事業計画書では一人サロンで400万円の営業利益を算出しました。
融資担当者は、確定申告書の数字と計画書の数字を比較して妥当性をチェックするでしょう。
差が大きい場合には「こんなに営業利益がでるわけがない」と計画性を疑われる可能性があります。
つまり確定申告は信用情報よりも収支計画に影響するのです。
もちろん確定申告をしていなくて「税の支払いをしなかった」場合には、信用情報がわからないため、審査に影響がでるでしょう。
しかし、確定申告では払うべきものを払っているので、信用情報自体に影響は及ぼさないといえます。
まとめ
信用情報は「その事業者が社会での様々な取引で約束を守れる人か」を調べるために必要です。
したがってローンがあること自体は問題にはなりません。ローンを返しているかどうかを見られるのです。
生活費を親族に払ってもらっている場合には、逆に信用情報が不足します。せめて自分が定期的に支払うものをもっているほうが望ましいと言えます。
事業主はこれから社会での信用を獲得していくのです。独立前にもそのことを意識して、取引を経験しておきましょう。
●文/コンシェルジュ室:安斎
ビューティガレージ コンシェルジュ室
日本最大級のプロ向け美容商材のオンラインショップ&ショールームを運営する株式会社ビューティガレージで、サロンの開業・経営支援のコンサルタント業務を担当。
15年以上のサポート実績と、数多くの開業事例、データに基づいた分析で、年間600件以上の開業に携わっています。
事業計画書の作成からお店のオープンまで、サロンオーナーと二人三脚で開業準備を行う「開業プロデュース」が好評。成功サロンを多数輩出しています。