理容と美容は共存できる?重複開設のメリットと注意点
美容師同士、美容師とアイリスト、美容師とセラピスト、美容師とレセプションなど様々なケースの夫婦開業をサポートしてきましたが、中でも注目なのが理容師と美容師の夫婦開業です。
旦那様が理容師で奥様が美容師のケースもあれば逆のケースでの開業相談も増えてきております。
今まで理容室と美容室は同じ場所では開設できませんでしたが、平成28年4月1日より理容師法・美容師法の一部が改正され、条件を満たせば同じ場所で開設(重複開設)できるように なりました。
そんな理容室と美容室の重複開設について、今回はメリットや注意点などをお伝えします。
目次
理容と美容の共存について
理容と美容の違い
そもそも理容と美容の具体的な違いとはなんでしょうか。
まず誰もが把握していることとして、理容師は「髭剃り、顏剃り」ができて美容師はできないことがありますね。
近年流行しているレディースシェービングは女性がターゲットの施術ですが美容師ではできず理容師のみが行えます。
では理容師であれば全ての理美容施術ができるのでしょうか?
答えはNOです。
「眉毛、まつ毛への施術やヘアメイク(成人式、ブライダル、メイクスクール等)」は理容師ではできず美容師のみができる施術です。
ヘアやフェイスのメイクアップに関しては無資格のメイクアドバイザーやエステティシャンが行っているのを見受けることがありますが、「結髪、化粧等の方法により、容姿を美しくすること」を仕事にするのは美容師しかできないと定められておりますのでご注意ください。
〈参考文献〉
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ターゲットの需要
理容室と美容室ではそれぞれ客層が異なります。
理容室は男性、特に40代以上をコアターゲットにすることが多く、美容室は女性、特にOL・主婦層をコアターゲットにすることが多いです。
しかし、近年ではジェンダーに関する固定概念が変化し、両分野の融合に関心が集まっています。
実際に15~69 歳の男女に取ったアンケートでも男性の美容室経験率は直近5年はずっと5割を超えてますし、女性客7割を誇る理容室も存在します。
〈参考文献〉
メリット
重複開設のメリットはいくつか存在します。
顧客層の拡大
両分野への関心は年々高まっているものの「実際に入店するのは抵抗がある』という方が少なからずいます。
筆者も元美容師でありながら加齢により美容室よりも理容室の方が入りやすくなりました・・・(まだ美容室のスタイルが好きなのに泣)
重複開設のサロンであればそのような通常の美容室や理容室では獲得できない客層も獲得が可能となります。
費用削減
今まで理容室・美容室を同じ場所(住所)で開設するには壁を隔てそれぞれで4坪ほどの施術スペースを確保するしか方法がありませんでした。
当然ながら内装費や設備費は大きくかかります。
もしくは電気やガス、水道を共用できない場合は分岐しなくてはならない(さらに費用がかかる)ことや、建物や貸主の都合でどうあがいても不可能ということもあります。
重複開設が可能であれば省スペースで開業することができ、理容施術・美容施術の設備を共用することもできるので大きな大きな費用削減となります。
ブルーオーシャン
理容美容重複施設はまだ市場では普及していない完全なブルーオーシャンです。
厚生労働省の2023年1月19日発表によると理容美容重複施設は266件でした。
理美容室の合計が37万件ほどなのでいかに少ないかが分かると思います。
供給過多のサバイバルで生き残るには誰もが分かる強みや差別化が必須で、金融機関からの事業融資審査でも大きなポイントとなります。
注意点
それではなぜこの勝ち確なコンセプトである理容美容の重複開設は少ないのでしょうか。
一番の問題は資格のハードルです。
重複開設の資格ハードル
理容美容の重複開設をするには全ての施術者が理容師免許、美容師免許の両方を所有のWライセンサーにならなくてはなりません。
この全てのというのがネックで、例えば将来を見据えWライセンサーになり同業の配偶者と夫婦開業を目指したとしても、奥様や旦那様がWライセンサーでなくては重複開設ができないのです!!
あまりに高いハードルのため、Wライセンスを取得する際の科目や履修時間は大幅に減免されましたが、時間や費用の投資に対する見返りがピンポイント過ぎるのでまだまだ増えていないのが実情です(一人サロンでの重複開設はあまり意味ないですし)
管理理容、管理美容のハードル
重複開設の夫婦開業の場合はどちらかが管理理容師、管理美容師ならば問題ないです。
これは助かりますね。
しかしながら重複開設を諦めた場合、片方がWライセンサーだったとしても、美容室に管理理容師・理容室に管理美容師しかいないと開設できません。
美容師免許と理容師免許が全く異なるように違う分野の衛生管理はできないのです。
重複開設なら認められるのにどうして?とも思いますが現状はこちらが法律です。
集客戦略が曖昧になる
メリットでは顧客層の拡大を挙げましたがターゲット層の混同には注意が必要です。
適切なマーケティング戦略やターゲット選定をしていかないと二兎追うもの一兎も得られないカオスなサロンになってしまいます。
【フェイシャルエステとシェービングをしたい地元の主婦層と美容室のような柔らかいスパイラルパーマをかけたい40代メンズ】などイメージを明確にしながら集客戦略や物件選定をしていくことが大切です。
まとめ
注意点はあるものの、重複開設は今後大きく伸長する事業モデルだと個人的には思います。
他業種からの参入もしにくく、多様なジェンダーに対応できる真のトータルビューティーサロンの開業を検討してみてはいかがでしょうか。
開業無料相談では理容室と美容室の重複開設について初期費用や収益シミュレーションが可能です。
是非お気軽に申し込みくださいませ。
●文/コンシェルジュチーム:野呂
ビューティガレージ コンシェルジュ室
日本最大級のプロ向け美容商材のオンラインショップ&ショールームを運営する株式会社ビューティガレージで、サロンの開業・経営支援のコンサルタント業務を担当。
15年以上のサポート実績と、数多くの開業事例、データに基づいた分析で、年間600件以上の開業に携わっています。
事業計画書の作成からお店のオープンまで、サロンオーナーと二人三脚で開業準備を行う「開業プロデュース」が好評。成功サロンを多数輩出しています。