価格高騰時代の資金調達!融資とリースを上手に組み合わせよう
物価高の影響もあってか、開業にかかる費用も少しずつ上がっています。
以下は、ビューティガレージの開業サポートを受けた開業者のデータです。3年間の開業費、自己資金、借入金を見てみましょう。
2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | |
開業費 | 1,137万円 | 1,224万円 | 1,237万円 |
自己資金 | 297万円 | 312.5万円 | 326万円 |
借入金 | 840万円 | 911.5万円 | 911万円 |
開業するサロンの規模は変わっていない(小規模サロン)ので、開業費があがっているのは明らかです。
では費用が上がった分、資金調達面はどうなっているでしょう。自己資金の伸びが顕著です。
これは開業サポートをしていての体感ですが、借入金を増やすことは難しいため、自己資金で補填しなければならないケースが多いと思います。
親族から支援してもらうことで自己資金を積み上げます。
価格高騰が続く中で、開業費用は高くなっています。したがって、資金調達の方法も工夫が必要です。
※参照:『【美容室開業のリアル】2022年度の開業者の自己資金と借入金』
初めての出店では借入金に上限がある
サロン開業の資金調達の味方といえば、日本政策金融公庫です。創業者への貸付を目的とした政府系金融機関で、開業者は無担保、無保証で融資を受けることができます。
しかし、新制度融資には限度額が設けられています。1,000万円が上限です。それ以上の借入れを希望する場合には、民間銀行との協調融資が必要になってきます。
1,000万円以上の借入れになると2つの点で開業準備に支障がでます。
まず1つめ。融資先が日本政策金融公庫以外に民間金融機関との協調融資をすることにより、融資審査の時間がかかってしまいます。そうすると、物件の契約などに大きな影響を与えることになります。
実際、協調融資のプロセス中に物件を取られてしまったというケースもあります。日本政策金融公庫の審査は通っていて、民間金融機関の審査待ちだったのです。
2つめ。特に小規模サロンの場合、借入金が多すぎることが懸念され、減額されるリスクが生じます。
「サロン規模の割に費用がかかりすぎる」という理由から、計画の見直しを求められる可能性もでてきます。
これは銀行側がそこまでリスクを追いたくないと思っているからです。
リース・分割支払いを活用しよう
このように借入金が大きくなると、審査に時間がかかるうえ、銀行側も負担を感じるようになり、開業準備が進まなくなる可能性がでてきます。
そこで別の資金調達手段を考えます。その典型的な例がリースであり、分割払いです。
例えば、開業費用で1,200万円が不足した場合、1,200万円全額を借入れすることは一つの選択肢ですが、リースを利用することで協調融資をしないで済みます。
上限である1,000万円を日本政策金融公庫から借りて、残り200万円を、美容器具やエアコンなどの設備を購入せずリースにします。
リースにすることで初期費用を抑えることができるため、美容器具や設備で出ていくはずのお金をセーブすることもできます。
一方デメリットもあります。リースでの支払いは、借入金の利息と元金の返済に比べて割高になることがあります。
200万円 リース料率2% 5年の場合、
月40,000円×60ヶ月 = 総額240万円の支払い
しかし、借入(審査)が遅れたり、落ちたりするリスクを考えると、リースを使うことで開業しやすくなるのであれば十分に活用に値すると思います。
※参照『違いを知って賢くオープン! 美容室開業時のリースとクレジットを簡単比較』
※参照『お金が足りない!? 手元にキャッシュを残すためのリース&クレジット活用術』
リース・分割支払いの審査
リース・分割支払いの審査は簡易です。そのため融資を受ける前に、自分がリース・分割できる額を知ることができます。
リースの審査は、融資審査とは違って信用情報が大きなウェイトを占めます。与信用紙に必要情報を書き込んで、リース会社に送るだけでリース可能枠がわかります。
日本政策金融公庫のように無担保、無保証というわけにはいかないので、審査がクリアできなさそうな場合には保証人になってもらえる人を探さなければなりません。
個人事業主ですと100万円〜200万円なら可能性はあります。逆にリース審査が落ちてしまう場合には信用情報があまりないということでもあります。
そういう意味でもCICなどで自分の信用情報をあらかじめ取得しておくことも一つの方法だと思います。
参照『信用度が丸裸に!? CIC窓口へ情報開示請求に行ってみた!』
開業費用が高いなら融資とリースを組み合わせて乗り切る
高くなっている開業費用に対応するためには、資金調達方法を分散することも重要です。
個人に対して一つの金融機関が貸し出せる金額は限られています。
別の銀行との協調融資だけでは、審査に時間がかかる、融資審査のハードルがあがるなど、開業自体が暗礁に乗り上げる可能性があります。
開業は、コストだけでなく時間の勝負でもあります。
コストと時間のバランスを考えたときに、「リース・分割」の活用は優れています。ぜひ資金調達の工夫をしてみてください。
「想定している以上に開業費用がかかりそう」「自己資金が少なくて借入れが厳しいかも」こうしたご相談もビューティガレージでお受けしております。
ぜひ、開業無料相談にお問い合わせください。
●文:コンシェルジュ/安斎
ビューティガレージ コンシェルジュ室
日本最大級のプロ向け美容商材のオンラインショップ&ショールームを運営する株式会社ビューティガレージで、サロンの開業・経営支援のコンサルタント業務を担当。
15年以上のサポート実績と、数多くの開業事例、データに基づいた分析で、年間600件以上の開業に携わっています。
事業計画書の作成からお店のオープンまで、サロンオーナーと二人三脚で開業準備を行う「開業プロデュース」が好評。成功サロンを多数輩出しています。