繁盛店になるために!抑えておきたいサロンの販売戦略の基本
サロンの収支計画を作る際に必ずセットで考えなければならないのが、サロンの販売戦略です。どうやってサロンの売上を伸ばしていくのかを考え、実行していきます。
売上は基本的に2つの要素に分解できます。すなわち売上=客数×客単価です。
単価が低いサロンは客数を多く獲得しなければなりません。適正な単価で適正な客数を取るためにはバランスも大切です。
そこで今回は、販売戦略を作るうえで大切なポイントをお伝えします。
新規客対策
新規客にかけるコストはリピート客にかけるコストの5倍とも言われています。特に新店オープンのときはリピート客があまりいない状況です。したがって、必ず力を入れなければいけません。
新規客を増やすには、まずサロンの認知度を高めることが何よりも重要です。とにかくあらゆる手段を使って、サロンの存在を周辺にあるいはターゲットに知らせていきます。
具体的には、お店の前を通る人に向けて看板やリーフレットを準備します。また周辺住民にチラシを配布します。
ポータルサイトに掲載したさいにはNEW OPENの特集に入れてもらいます。新しくホームページやSNSを始める場合には積極的に情報発信していきます。
また、前勤務先からの指名客がいる場合には、彼らにお願いして口コミを書いてもらったり、知り合いを紹介してもらったりして少しでも新規客を集める努力が必要です。
新規客を獲得するには相当の労力とコストがかかることを覚悟しましょう。とにかく最初はやれることをすべてやって、認知度を高めることが重要です。
※参考記事『サロン経営にも役立つ!知っておきたい3つの法則』
リピート対策
リピート対策とは、新規客として来店されたお客さまに再来店を促すことと定義します。少しずつリピートが増えることで初めてサロンの総客数が増えていきます。
リピート対策の大前提は、「また来たい」と思ってもらえる技術と接客です。リピートがほとんどない場合には、まず集客以前にサービス自体を疑いましょう。
美容業界で繁盛サロンが率先して行っているリピート対策といえば、「次回予約」です。会計時に次回の予約を取り付けることを重要視しているサロンが多いです。
髪の状態、肌の状態、お客さまの状態にあわせて、適切な来店タイミングをサロン側から提案していきます。
リピート対策でのポイントは予約システムやインセンティブです。予約システムがあるほうが予約がスムーズで、かつお客さまが忘れないようにリマインドしてくれます。
また、2ヶ月先のスケジュールを確保することへの抵抗を減らすために、割引などのインセンティブを与えます。例えば60日以内の再来店でカラー価格を10%OFFにします。
こうして再来店を促し、定期的に通ってもらえるようになるまで繰り返します。
さらに、3回以上来店すると習慣化される可能性が高まるため、ステップアップカードで目標来店数をクリアすることでさらなるクーポンやプレゼントを用意しましょう。
※参考記事『お客様の囲い込み!LINE公式アカウントの活用メリット』
参考記事『集客施策は3つセットで考えないとダメです!』
失客対策
こちらはオープンして間もないサロンの対策としては早すぎますが、意識しておく必要があります。つまり、常連客の失客を防ぐための施策を考えます。
常連客とは1年に数回来店してくれるお客さまです。したがって、常に安定的な売上が見込めます。
例えば1回につき10,000円を使ってくれるお客さまが2ヶ月周期できていれば、サロンに年6万円使ってくれています。そんな人が3名いなくなったら、一気に18万円を失うことになります。
その穴埋めを新規客でするのは相当大変ですから、できるだけ失客を防ぐ手立ても考える必要があります。
ここでのポイントは失客の予兆をとらえること。来店頻度が落ちている、次回予約を取っていってくれない、単価が下がっている、などなにか変わった点があれば、より注意してお客さまに接していきましょう。
顧客情報を正しく把握していくためには、やはりPOSシステムは欠かせません。顧客分析を行って、離脱しそうなお客さまを早めに検知して、手を打てるようにします。
システム機能を活用し、その顧客だけに特別なサービスを通知したり、誕生日プレゼントを用意したり、よりカスタマイズされた接客を行います。
サロンに通い続ける理由をお客さまの中に根付かせていきましょう。
※参考記事『後回しはダメ! 失客を減らすために顧客管理システムを導入すべきワケ』
アップセル
売上のもう一つの要素、単価について考えていきます。単なる値上では顧客は離れていきますので、戦略的に単価を上げにいきます。
アップセルは、一つグレードの高いメニューを用意して案内することです。
よくあるのはトリートメントやカラーの種類を用意して、より質の高い薬剤を薦める方法。材料費も考慮しながら値付けを行い、「これまでよりも上質なトリートメントが手に入ったので試してみませんか」などとセールスをします。
もしくは割引で一度体験させて、次回からそのメニューで予約してもらうように促すこともできます。
※参考記事『融資でも聞かれます!売上を伸ばすための施策について考えよう!客単価編』
クロスセル
クロスセルは、メニューを複数利用してもらうことで単価を上げる方法です。例えば、カットのお客さまにヘッドスパを案内する、カラーのお客さまにトリートメントを提案する、といった施策です。
ポータルサイトでは、単品でのサービスではなくすでに組み合わせのメニューをクーポン化して訴求することがあります。
「カットだけよりも、カットカラーのほうがお得だ」と思わせるようなプライシングを考えています。多少単品の価格が下がっても、トータルでの単価アップができればOKという戦略です。
技術単価を上げるためには、顧客分析が欠かせません。単にアップセル・クロスセルを勧めるだけでは、押し売りになってしまいます。
単価アップの成否は、カルテの活用がものを言います。
「前回来店されたときに、髪がごわついているとお話してたので、カラー後にトリートメントをつけると艶が長持ちしますよ」という具合に、あくまでお客さまの悩みを解決する提案にしなければなりません。
そのためにはお客さまを知ることが第一歩になります。
店販
最後に商品の販売です。施術とは違って時間がかからないため、本気で販売できれば大きな売上、利益をもたらすことができます。
一度提案した商品を気に入っていただければ、なくなるたびに購入してくれます。施術よりも高頻度で購入してくれる可能性が出てきます。
店販を強化するためには二つの軸が必要です。
一つは取り扱い商品。サロンは美容のプロです。プロがすすめる商品は、多くの消費者に刺さります。どの商品を訴求していくべきかをサロン内で議論して決めていきましょう。
また、スタイリストによって推す商品が違うのであれば、それぞれがその商品の良さをアピールできるようにしましょう。
もう一つの軸は、やはり営業です。アップセル・クロスセルと同様にあくまでお客さまの立場にたって提案しましょう。
また、「店販は苦手」というサロンも多くあります。そういった場合には、オンラインショップを設置し、お客さまがそこで購入できるように仕組み化を行いましょう。
LINEやDM、ブログなどを通じて、商品の説明などを行って購入に結びつけましょう。
※参考記事『儲かるサロンをつくるために、店販を取り組む』
※ビューティガレージではサロンさまのオンラインショップを提供しております。詳しくは『Salon.EC』にお問い合わせください。
まとめ
販売戦略には、客数アップに関わるものと、単価アップに関わるものがあります。サロンの置かれている状況によって打つべき手は変わってきます。
特に開業者にとってはまず新規客を増やすことが最大のミッション。最初から、現勤務先のお客さまだけに頼ってよいかどうか、を考えましょう。
おすすめは、サロンの認知拡大のためにあらゆる手段を試してみることです。サロンによってどの方法でどんなお客さまがどれだけ来るかは違います。
資金調達をして集客にかけるお金をしっかり確保しましょう。当然ですが、集客施策に10万円をかけたからといって、次の月に50万円が儲かる、といったものではありません。
繁盛のための販売戦略は長期で取り組まなければなりません。
これから開業したいオーナーさまだけでなく、すでにオープンしているサロンさまにもサロンの販売計画に関するご相談をお受けしております。
ぜひ、開業無料相談にお問い合わせください。
●文/コンシェルジュ室:安斎
ビューティガレージ コンシェルジュ室
日本最大級のプロ向け美容商材のオンラインショップ&ショールームを運営する株式会社ビューティガレージで、サロンの開業・経営支援のコンサルタント業務を担当。
15年以上のサポート実績と、数多くの開業事例、データに基づいた分析で、年間600件以上の開業に携わっています。
事業計画書の作成からお店のオープンまで、サロンオーナーと二人三脚で開業準備を行う「開業プロデュース」が好評。成功サロンを多数輩出しています。