『頼る』から『活用する』へ。サロン集客におけるポータルサイトとの付き合い方
開業して、サロンオーナーの方が最も不安に感じるのは“集客”です。サロンが完成しても、お客さまが来てくれないのでは困ります。
現状、美容室の集客でもっとも効果が高いのは『Hot Pepper Beauty』を筆頭とした“ポータルサイト”です。
ポータルサイトとの付き合い方が集客を左右すると言ってもいいでしょう。
そのため、私たちが開業のサポートをさせていただくときはポータルサイトへの掲載をおすすめしていますが、「ポータルサイトへの掲載は絶対にしたくない」というオーナーの方もいます。
集客力は認めているものの、不安に感じる部分もあり、どこか掲載には消極的になっているのです。
今回は、圧倒的な集客力を誇るポータルサイトとどう付き合っていけばよいかについてお話しします。
目次
サロンオーナーがポータルサイトに感じる恐怖
開業相談や開業サポートでの話から、オーナーがポータルサイトを避けたくなる主な理由は、以下の3つにまとめられます。
広告費が高い
高いプランでないと上位に表示できない。結局、資本力のある大手サロンが強い。そして今後、掲載料を上げられたら厳しくなる。
頼りすぎるとやめられなくなる
集客はポータルサイトの力であって、自分たちの力ではない。やめたら集客が途絶えてしまうかもしれない。だったら最初から別の方法で地道に集客していきたい。
ブランド力がなくなる
クーポン目当てに来場されるお客さまが多く、リピート率もよくない。価格競争に巻き込まれて、自分たちのブランドが十分に認知されない。
これらの悩みは、サロン経営者にとってどれも深刻な悩みに聞こえます。
オーナーのこうした不安は払しょくできないものでしょうか。次に、サロン側ではなく、ポータルサイトのユーザー視点で見てみましょう。
ユーザーから見たポータルサイト
『サロンオーナー必見! ネット予約システムの選び方【ポータル編】』でも紹介していますが、ユーザーがポータルサイトを利用するメリットはたくさんあります。
- ポイントが貯まる&使える
貯まったポイントを別の買い物にも充てられるし、その逆もできる。
- サロンの比較が簡単&条件を絞って検索可能
無数にあるサロンを簡単に比較検討することができ、条件を絞って検索することもできる。複数のサロンのホームページを行き来して比べるよりも、一覧で見られて効率的。
- 口コミやレビューなどの情報を他のユーザーと共有できる
サロンが提供する情報よりも、実際に使ったお客さまが発信する情報のほうが信頼できる。
このように、ユーザーから見てみると、非常にメリットの大きいものと言えるでしょう。
ポータルサイト最大の価値
ユーザー視点で見たときにメリットが多いことはわかりましたが、ポータルサイトの最大の価値は、“美容室を探している人たちが利用している”という事実です。
これまで、集客する手段はマスメディアを使ったものが当たり前でした。テレビ広告やチラシなどに莫大な資金を投下し、不特定多数の人に向けた集客をしてきました。
しかしこれらの方法は当然効率のいいものではありません。美容室を探していない人は広告に見向きもしないからです。
一方、ポータルメディアはターゲットメディアです。このサイトに来ているお客さまは、美容室に行くことを前提に情報を探しています。
その人たちにピンポイントでリーチできるというのが、集客率が上がる一番大きな要因だと思います。
プラットフォームという考え方
ここからは、より視野を広げてポータルサイトを考えていきましょう。
ポータルサイトはプラットフォームの一部だと言われます。
プラットフォームとは、「土台」「場所」などと訳されることが多いですが、ここには多くの人が集まって活動することが期待されます。
大手のIT企業はインターネット上でプラットフォームを形成して、彼らの提供する場所で、ユーザーが活動できるようにしているのです。
代表的なのがAmazonです。Amazonはショッピングサイトを基盤にいろいろな活動の場をユーザーに提供しています。
Amazonのアカウントを持っていれば動画を観ることができるし、音楽だって聴けます。自分でお店を出して商品を売ることもできます。
楽天もそうです。ショッピングから金融、旅行、そして美容室サイトなど、楽天だけで生活が成り立つのです。
リクルートも同様に、旅行から学習、結婚式、美容室まで、あらゆる活動の場を提供しています。
このように、企業が作ったプラットフォームで多くの人が経済活動を行っているのです。
「みんなが使うから自分も使う」という心理から、どんどん利用者は増えていきます。これをネットワーク効果と呼びます。
多くの人がこうしたプラットフォームにアクセスして活動をしているのに、そこから離れてビジネスをすることがいかに可能性を狭めるかは言うまでもありません。
サロンの集客においても、ポータルサイトの利用を切り捨ててしまうというのは危険な考えだと言えるでしょう。
モールという考え方
最後に、ブランディングについてお話ししておきます。
ポータルサイトに入ることでサロンの価値が下がると思っているオーナーの方もいらっしゃいますが、そうではありません。
ポータルサイトとは、実店舗にたとえるとモールや百貨店のようなものです。ひとつの場所で、いろんなサロンに会えるわけです。一方でホームページは路面店と表現できます。
アパレル高級ブランドを想像してみましょう。
LOUIS VUITTONやPRADAなどの高級ブランドですが、決して青山の一等地に構えた店舗だけで売上を伸ばしているわけではなく、モールや百貨店にもお店が入っています。
同じように、サロンも自分のホームページだけで店を構える必要はありません。モール(ポータルサイト)への出店も戦略の一つなのです。
ポータルサイトは、大手サロンから個人サロンまで区別なく掲載できます。料金には幅がありますが、身の丈に合った掲載料を払うだけで大手と対等な立場で勝負ができるのです。
もちろん、掲載料によって表示に順位がつきます。しかし、前述したように、条件を絞り込んで探せるため、ユーザーはサロン探しがラクになるのです。
その点では、自分のサロンに来てほしいお客さまが求めている条件さえわかれば、サロンの差別化ができます。つまりポータルサイトでのブランディングも可能なのです。
まとめ
オーナーが感じる不安は、サロン(供給側)の立場から見た考えです。
お客さまの心理を考えたときに、ポータルサイトを敬遠する理由はほとんどありません。どんどん利用するべきだと思います。
もちろん、ポータルサイトだけに絞る必要はありません。ポータルサイトとホームページを両方持つのも効果的です。
また、地域のお客さまを狙っているならば、チラシを配ってサロンの認知度を高めたうえで、ポータルサイトで予約してもらうという戦略もあります。
もう一つ大事なことは、費用対効果を意識するということです。
新規集客の数なのか、売上なのか、リピート率なのか、広告で何を得たいのかを明確にして数字を追っていく必要があります。
あくまで掲載費は投資です。効果がなければ別の方法を考えましょう。ポータルサイトに“頼る”のではなく、うまく“活用”してサロンの繁盛につなげましょう。
●文/コンシェルジュ室:安斎
※サロンの開業場所・開業予定日が決まったら、ビューティガレージの『ホットペッパー専用窓口』をぜひご利用ください。
ビューティガレージ コンシェルジュ室
日本最大級のプロ向け美容商材のオンラインショップ&ショールームを運営する株式会社ビューティガレージで、サロンの開業・経営支援のコンサルタント業務を担当。
15年以上のサポート実績と、数多くの開業事例、データに基づいた分析で、年間600件以上の開業に携わっています。
事業計画書の作成からお店のオープンまで、サロンオーナーと二人三脚で開業準備を行う「開業プロデュース」が好評。成功サロンを多数輩出しています。