計画書だけでは通らない!融資面談で経営者として認められる突破術

美容サロンの独立開業において、日本政策金融公庫(以下、公庫)からの融資は最も一般的な資金調達手段です。
公庫融資の審査は、主に自己資金の準備状況、事業計画書の実現性、そして申込者個人の信用情報という3つの柱で評価されます。
しかし、「この3点がクリアできていれば大丈夫だろう」と楽観視し、面談対策を疎かにするサロンスターターは少なくありません。
実は、融資審査の最終局面、公庫の担当者と対面する面談こそが、融資成功の可否を分ける最大の関門です。
どれほど立派な計画書を用意しても、面談で担当者に「この人には任せられない」と判断されれば、融資は通りません。
面談が単なる質疑応答ではなく、あなたの経営者としての素養と熱意を伝えるプレゼンテーションであることを理解し、徹底した対策を講じましょう。
参照記事:管理職の独立開業は有利?不利?融資面談で強みを伝えるポイント
参照記事:美容室開業の資金調達!融資担当者が開業者に求める情報
目次
面談は「経営者としての素養」を試す場
融資審査担当者は、面談の平均時間である60分前後の中で、あなたに融資をしても確実に返済能力があるかどうか、つまり「経営者としての素養」があるかを推し量っています。
計画書を「自分の言葉」で語れるか?
事業計画書を税理士やコンサルタントに依頼して作成するケースは多いですが、そこに書かれている数字の根拠や前提条件を、あなたの言葉で説明できなければ一気に信用を失います。
例えば、「売上目標の根拠は?」と聞かれた際、「税理士さんが計算してくれました」では話になりません。
「この客単価と施術時間なら、1日〇人の施術でこの売上になる計算で、競合の動向も踏まえて無理のない数字と判断しました」といったように、自分の事業計画として腹落ちしていることを論理的に伝えましょう。中身を理解していないと、担当者からの深堀り質問ですぐにボロが出てしまいます。
夫婦開業における「仮初めの経営者」の懸念
女性活躍推進の観点から、女性起業家向けの優遇融資制度を活用しようと、配偶者(妻)を形式上の申込者(経営者)に据える夫婦開業のケースが増えています。
しかし、面談で妻が申込者であるにもかかわらず、夫ばかりが口を挟んだり、主導権を握って話を進めたりすると、担当者は「この人は仮初めの経営者ではないか」と疑念を抱きます。
融資を受けられるかどうかは、申込者本人に経営能力があるかにかかっています。
申込者本人が、事業への熱意、具体的な計画、リスクの認識を自分の言葉でしっかり語り、経営者としてのリーダーシップを示すことが絶対条件です。
具体的なエピソードで語る「キャリアと需要」
面談では、過去のキャリアや事業の需要に関する質問も深く掘り下げられます。抽象的な回答では不十分です。
過去のキャリアは「実績」と「再現性」で語る
「これまでの美容師経験」について聞かれるのは、あなたの技術的なスキルを確認するためだけではありません。
担当者が知りたいのは、「過去の成功・失敗を、新しいサロン経営でどう活かせるか」という点です。
単なる経験年数ではなく、「前職で指名売上を〇%アップさせた」「スタッフ〇名のマネジメント経験がある」「新規顧客の定着率を〇%改善した」など、具体的な数字で実績を語りましょう。
計画書に書ききれなかった、困難な状況を乗り越えたエピソードや、オーナーとして兼ね備えているリーダーシップやスキルを惜しみなく話すことで、「この人ならトラブルがあっても乗り越えられる」という信頼感に繋がります。
サービスの需要を「データ」と「エリア特性」で証明する
「なぜあなたのサービスがお客様に求められているのか」「なぜこの出店エリアなのか」という質問も必ずされます。
この時、「この辺は競合が少ないから」「私の技術は誰にも負けないから」といった抽象的・主観的な回答は厳禁です。
需要の根拠
「出店エリアの30~40代女性の平均可処分所得は〇円で、SNSのアンケート結果から、この価格帯の需要が〇%あると見込んでいる」
立地の根拠
「周辺のオフィスビルやマンションの数から、徒歩圏内にターゲット層が〇人住んでいることを確認済みで、競合店〇軒とはメニューや客層で明確に差別化できている」
このように、データと具体的な市場調査に基づいて、自分のサービスとエリアの需要が問題なく存在することを、論理的に説明しきることが重要です。
面談を「質疑応答」ではなく「プレゼンテーション」に
公庫の担当者は、貸したお金が返ってくるかどうかの最終判断を面談で行います。
面談は、担当者から質問を受けたらYES/NOで答える場ではありません。
あなたは出資者に対し、自分の事業がいかに成功するかを売り込むプレゼンターです。
面談は、あなたの事業の説得力を高めるための最後の60分です。聞かれたことだけに答えるのではなく、質問をフックにして、準備してきた事業の強みや熱意、将来性を積極的にアピールしましょう。
まとめ
融資面談は、自己資金や事業計画書といった「資料としての事実」を、「生きた言葉と熱意」で裏付ける最後のチャンスです。
徹底したシミュレーションを行い、自信を持って臨んでください。
面談対策こそが、あなたの開業を成功へと導く最後のカギとなります。
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ビューティガレージの開業プロデュースは、融資面談で自分の言葉でプレゼンできるように計画の設計や面談の練習を行います。
最初から完璧にできる人は誰もいません。
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●文/コンシェルジュチーム:野呂
ビューティガレージ コンシェルジュ室
日本最大級のプロ向け美容商材のオンラインショップ&ショールームを運営する株式会社ビューティガレージで、サロンの開業・経営支援のコンサルタント業務を担当。
15年以上のサポート実績と、数多くの開業事例、データに基づいた分析で、年間600件以上の開業に携わっています。
事業計画書の作成からお店のオープンまで、サロンオーナーと二人三脚で開業準備を行う「開業プロデュース」が好評。成功サロンを多数輩出しています。