その認識ちょっと古いかも?!自己資金の考え方とポイント
美容室を開業する際、公庫の融資は欠かせない資金調達手段です。
その中でも、新創業融資(現在は「創業支援貸付利率特例制度」に改称)は特に活用されている融資制度です。
改定で自己資金の要件が無くなったことが特徴ですが、それでも審査において自己資金の準備状況が重要視される点を見逃してはいけません。
今回は、美容室開業を目指す方が知っておくべき自己資金のポイントについて解説します。
目次
1. 自己資金要件の廃止と審査の実態
創業支援貸付利率特例制度では、以前のような「創業資金総額の10分の1以上の自己資金を用意」という明確な要件が廃止されました。
しかし、実際の審査では総開業費用の2~3割程度の自己資金の用意が必要とされているのが現状です。
これは、金融機関側が「計画性」と「返済能力」を確認するためです。
自己資金の割合が少ない場合、全額借入に頼る経営計画が懸念材料となり、不利な評価を受ける可能性があります。
融資の条件緩和に惑わされず、自己資金を計画的に用意することが成功のカギです。
参考記事:自己資金ゼロでは融資は通らない!担当者が「この開業は失敗する」と判断する理由
2. 自己資金は「事業用資金」、生活費の証明も重要
自己資金とは、あくまで事業に使用するための資金です。
融資計画書に記載した自己資金を開業後のオーナー収入や生活費に流用することはできません。
そのため融資審査では、別途生活費や資産の証明が必要です。
例えば、投資資産や学資保険や生命保険等の返戻金の明細、配偶者の預金通帳等を提示し、生活費に問題がないことを証明することで、審査がスムーズに進む可能性が高まります。
「自分自身の生活基盤が安定している」という印象を与えることが、信用獲得につながるのです。
参考記事:お金の“流れ”をチェック? 融資審査で自己資金を申告する際の注意点
3. タンス預金の扱いと注意点
よく言われていることですが手元に現金を保管している、いわゆる「タンス預金」は基本的には自己資金として認められません。
だからと言って、焦って融資面談の直前に口座へ振り込むと「見せ金」と疑われる可能性が高くなります。
信頼を得るためには、開業計画を立てる段階から早めにタンス預金を銀行口座に移し、安定した収支記録を作ることが重要です。
どうしても「生活費は細かく入出金せず多めに手元で管理したい」という場合、上段の生活費の担保としては証明できる場合がありますので、手元の現金残高に関しても常に帳簿をつけておくと良いでしょう。
参考記事:信用できるのは通帳だけ!? 融資で疑われるケースと正しい自己資金管理法
4. 親族からの支援金も計画性がカギ
親族から返済不要の支援金を受けた場合、それを自己資金として認められるケースもあります。
ただし、コツコツ貯めた自己資金よりも割合が多く「計画性の無い、思い付きでの開業」と判断されると、審査が不利になるので注意が必要です。
一方、実家暮らしで毎月家に入れていたお金を開業時に親から返してもらうと約束していて、それが履行された場合は、れっきとした「自己資金」として見なされる場合があります。
この際、自分と親、双方の口座の出納履歴が証明書類として有効になるため、計画的な記録を心がけましょう。
5. 臨時収入や投資益の取り扱い
ギャンブルの勝ち金や遺産など、臨時収入が自己資金として認められることもありますが、やはり計画性の欠如を疑われるリスクがあります。
一方、証券や債券などのペーパーアセットでの運用益がある場合は、資金形成能力として評価されることが多いです。
特に、NISAや新NISAを活用して開業資金を増やす方法は、近年注目を集めています。
長期的にコツコツ資産を増やす姿勢は、計画性と信用をアピールする材料となるでしょう。
参考記事:融資の鍵を握る<自己資金>!開業準備の前にチェックしておきたいポイント
まとめ
美容室の開業資金を準備する際には、「計画性」と「生活基盤の安定」を重視しましょう。
たとえ新創業融資の要件が緩和されても、審査ではしっかりとした自己資金の存在・形成が重要視されます。
コツコツと資金を貯め、必要な書類や証明を整えることで、融資審査を有利に進めることが可能です。
開業の夢を実現するために、早めの計画と行動を心がけましょう!
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●文/コンシェルジュチーム:野呂
ビューティガレージ コンシェルジュ室
日本最大級のプロ向け美容商材のオンラインショップ&ショールームを運営する株式会社ビューティガレージで、サロンの開業・経営支援のコンサルタント業務を担当。
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