失敗は成功の母!考えすぎて開業に踏み出せない人に必要な姿勢

公開日:2021/03/26  更新日:2021/03/26
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
美容室開業

失敗しない美容室開業BOOK』という本を出しています。

 

この本をきっかけに開業相談に来られる方もいます。

 

この本のタイトルのせいかもしれませんが「うまくいかなかったサロンはありますか?」「どうやったらうまくいきますか?」という質問を受けます。

 

失敗するのが怖いと感じていて、なかなか開業に踏み出せない人も多くいらっしゃるようです。

 

しかしながら、うまくいくかいかないかは実際にやってみないとわかりません。

 

オープン後、事業計画書通りにいくこともほとんどありません。

 

現実としてオープンすればいくつも失敗をすることになります。

 

それを克服しながら徐々にサロンの勝ちパターンを作っていくしかありません。

 

失敗が怖くて開業に踏み出せない人は、「失敗しない」ことにとらわれず開き直ることも大切です。

 

失敗はみんなが通るプロセス

『失敗しない美容室開業BOOK』の「失敗」はサロンが経営できなくなるほどのレベルの話ですが、小さな失敗はどの開業者も沢山します。

 

「事業計画書通りにいかない=失敗」と考えればどのサロンも失敗しています。

 

あるサロンでは、オープン時の売上が事業計画書で立てた目標の半分でした。

 

前勤務先のサロンからの指名客が、思ったより戻ってこなかったようです。

 

名刺交換なども許されていなかったため、実際に指名のお客様には口頭だけの案内でした。

 

しかし、計画時には過剰に指名客の来店を期待してしまったのです。

 

別のサロンでは、売上は伸びているもののお客さまの質の問題に直面しました。

 

40代の落ち着いた大人女性に対して髪に優しいカラー・トリートメントを訴求したのにかかわらず、20代のデザインカラーが伸びました。

 

お客さまの比率が20代が増えたため、店内の雰囲気も変わっています。

 

サロンのブランディングという意味ではこれも失敗です。

 

売上やターゲットといった問題以外にも様々な失敗を経験します。

 

例えばオペレーションの問題。

 

スパを訴求した結果、2台のシャンプーのうち1台がスパに使われてしまい、シャンプーの稼働効率が悪くなり、お客さまを待たせてしまうことになりました。

 

また、スタッフとの関係悪化なども起こります。

 

処遇待遇をめぐって対立し、オープン後すぐに一人辞めてしまい、予約客を回せなくなったサロンもあります。

 

こうした問題すべてを計画段階で予測することは不可能です。

 

したがって、失敗は起こるという前提で開業を考えるべきなのです。

 

大事なのはPDCAを回すこと

オープン後に大切なのは、直面する問題に気づき、その都度、原因を見つけて対策を練っていくことです。

 

PDCAと呼ばれるプロセスがあります。

 

計画を立てて(Plan)、実行して(Do)、うまくいかなかったところを分析して(Check)、改善していく(Action) プロセスです。

 

このプロセスを何回も繰り返しながら問題を解決していきます。

 

オープン後、売上が伸びなかったサロンの例を見てみましょう。

 

売上を分析してみると、客数が少ないのが原因だとわかりました。

 

とくに平日午後の空席が目立っていました。

 

そこで、対策として時間限定のクーポンを訴求することにしました。

 

しかしなかなか新規客がうまい具合に入ってきません。

 

そこで今度は、リピーターの次回予約を平日午後に入れるよう割引などで施策を打ち、予約が入りやすい枠を新規集客するように施策を変えてみました。

 

その結果、新規客が増え売上も伸び始めました。

 

このように何度も繰り返しながらうまくいく方法を探っていきます。

 

失敗から学び、次の打ち手を考える。このプロセスが非常に大切なのです。

 

軌道に乗せるには時間がかかる場合があります。

 

「失敗しない」開業を目指すより、オープン後早く失敗して軌道に乗せましょう。

 

※参照

サロンオープン後が勝負!事業計画書を使った振り返りと指標【前編】

サロンオープン後が勝負!事業計画書を使った振り返りと指標【後編】

 

致命的なダメージを避ける

失敗を過度に恐れるのは「失敗したらサロンが潰れてしまう」という不安からです。

 

したがって、失敗してもすぐに潰れないように準備をしておくことも大切です。

 

事業計画書の作成の段階においては「潰れない」を意識します。

 

具体的には2つです。一つは運転資金の確保。もう一つは固定費の抑制です。

 

運転資金は固定費の半年分を現金として用意すべきと伝えています。

 

想定通り売上が伸びなかった場合でも、赤字になっても、キャッシュがあればサロンは営業できます。

 

事業の失敗は盛り返すことができますが、資金繰りの失敗は取り返しがつきません。

 

キャッシュがなくなったら終わりです。資金があるからこそ何度もトライ&エラーを行えるのです。

 

また、はじめてお店をつくる場合には固定費をできるだけ抑えることも大切です。

 

利益は売上-経費で計算できますから、売上が少なくても利益を残すには経費を抑えるという発想です。

 

ネックになるのは固定費。小さな美容室に関しては家賃、スタッフを集めて行う美容室は家賃と人件費をいかに抑えるかを真剣に考えるべきです。

 

計画書での売上の見込みは外れることが多いので、経費に関しては慎重に検討しましょう。

 

※参照

利益を残すには経費はいくらまで?比率から考える収支計画の作り方【前編】

利益を残すには経費はいくらまで?比率から考える収支計画の作り方【後編】

 

失敗は成功の第一歩

失敗が怖くて開業に躊躇しているならば、まずは失敗に対する考え方を変えましょう。

 

どんなに情報を集めても、完璧な計画を立てても、うまくいくかいかないかはやってみないとわかりません。

 

それよりも、実際にオープンしてみて、うまくいかなかったところを修正、改善していくほうがはるかに効率的です。

 

失敗をすることを前提として、計画を立てること。PDCAを素早く回して、成功のパターンをはやく見つけること。

 

「失敗してあたりまえ」そういう開き直りも、独立には欠かせない姿勢だと思います。

 

 

●文/コンシェルジュ室:安斎

 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

ビューティガレージ コンシェルジュ室

日本最大級のプロ向け美容商材のオンラインショップ&ショールームを運営する株式会社ビューティガレージで、サロンの開業・経営支援のコンサルタント業務を担当。

15年以上のサポート実績と、数多くの開業事例、データに基づいた分析で、年間600件以上の開業に携わっています。

事業計画書の作成からお店のオープンまで、サロンオーナーと二人三脚で開業準備を行う「開業プロデュース」が好評。成功サロンを多数輩出しています。

この記事のタグ

利益 売上 失敗 独立 開業

関連記事

開業事例