ネイルサロン開業に必要な準備とは?費用や助成金もご紹介!
美容室やエステサロンとは違って、ネイルサロンの独立開業は一見ハードルが低いように思われます。手軽に、かつ費用をかけずにサロンをオープンできてしまいます。
ネイルサロン市場への参入が簡単という一方で、ネイルサロンは嗜好性が強く、ほかの業種に比べても利用者が多くありません。競争状況は極めて厳しいのです。
理想のネイルサロンを実現し、繁盛させるためには、開業までの準備が非常に大切です。
この記事ではネイルサロン開業に向けて、どのような準備が必要なのかご紹介いたします。
・開業に必要な資格や手続き
・開業に向けて必要な準備や費用
・利用できる助成金 など
目次
ネイルサロンの開業は2パターン
ネイリストとして働いている方の中には、いつか独立してお店を開きたいと考えている方もいるのではないでしょうか?
ネイルサロン開業には、大きく分けて「店舗型」と「自宅型」の2パターンがあります。それぞれメリットとデメリットがあり、開業までにかかる費用も異なります。
店舗型のネイルサロン
店舗型は店舗を構えて開業することです。間借りするのか、テナントに入るのかなど、さまざまな手段に分けられます。
店舗型にするメリットは、集客力のある立地や自分がターゲットとしたいお客様に合わせたエリアを選択して開業できることです。
自宅ではないため、住所を気兼ねなく公開でき、看板も堂々と設置できます。
また仕事とプライベートをしっかり分けられる点も大きいです。仕事だと気持ちの切り替えがしやすいため、生活にメリハリが生まれます。
内装など、ある程度自分の要望に合わせて変えることもでき、理想のサロンを作りやすいです。
しかし店舗を借りたり、内装工事を行なったりと初期投資にまとまった額が必要になります。
また毎月の賃料や光熱費など、運用経費もかかります。
自宅型のネイルサロン
自宅型は自宅の一部をサロンとして利用する方法です。自宅で行うため賃料がかからず、店舗を借りる時に必要な敷金・礼金・保証金などがいりません。
運用経費も最小限にとどめることができるため、毎月かかる経費に頭を抱えるリスクを減らせます。
また小さなお子様がいたり、介護をしなければならなかったりなど、自宅を長い間空けられない方でも仕事が可能です。
プライベートと仕事のバランスを取りながらサロンを開きたい方におすすめです。
しかし自宅型のネイルサロンにもデメリットはあります。
まず、立地条件を選べないことです。
店舗型では戦略に合わせて、お店の場所を選ぶことができましたが、自宅型では難しいでしょう。駅から遠かったり、駐車場が確保できなかったりすると、集客に苦労するかもしれません。
したがって「ある程度自分の指名客がいて利益が見込める」人か、「そこまで売上や利益にこだわらなくてよい」人に適していると言えます。
また、自宅の住所を公にすることに抵抗を感じる方もいます。
自分にとっては問題なくても、一緒に住む家族が難色を示す場合もあります。しっかり家族と話し合いをして、納得してもらった上で開業しましょう。
次に生活感が出やすいサロンになってしまう可能性があることです。
店舗のように自由に内装が変えられない場合もあるため、どうしても自分が理想とするサロンに近づけないこともあります。
またプライベートと仕事のメリハリが付けにくい点もデメリットです。
どうしても同じ屋内に仕事場と生活エリアがあるため、気持ちを切り替えにくいと感じる方もいます。
ネイルサロン開業に向けて必要な準備
開業のハードルは美容室と比べて低いですが、ネイルサロンを成功させるためには、準備が非常に大切です。
この準備をしっかり行わないと、開業後うまくいかなかったとき大きな悩みを抱えることにもなります。
どのように進めていけばよいのか、順番にご説明していきます。
お店のコンセプトやターゲットを決める
まずは事業計画書を作ります。コンセプトとは、誰にどういう価値を提供できるかということです。
実はネイルサロンはコンセプトやターゲットで差別化をしていくのがとても難しい業種です。
ネイルサロンは基本的に提供できるサービスが同じです。美容室やエステサロンと比べてもメニューに幅がありません。
したがって、スピードや技術、デザインが決め手になります。
また、ネイルサロンの利用者はある程度ターゲットが絞られます。
「自分でもできてしまう」という点、嗜好性が高く「必要不可欠なサービスではない」という点だけでも、美意識が高く金銭的な余裕がある人に絞られてきます。
それゆえコンセプト決めが、ネイルサロンを開業する上で最も大切なことだと言っても過言ではないでしょう。
自分のネイルサロンがどういった価値を提供できるのかを細かく設定しましょう。
サロンのコンセプトやターゲットが決まれば、内装やインテリアだけでなく、サービス内容や広告についても決めやすくなります。
物件探し
開業するための物件を探します。自宅で開業する方は、どの部屋をサロンにするのかなど考えましょう。
店舗を借りて開業する場合、出店エリア選びは非常に大切です。
都心部であれば、駅から近い物件の方が集客しやすいです。しかし郊外や地方で開業するのであれば、駅から少し遠くても駐車場が確保できる物件の方がよいでしょう。
また自分がターゲットとするお客様が多いエリアを選択しましょう。立地がよくても、ターゲット層と異なる場所では集客が難しくなります。
設備や機材の準備
ネイルサロンに必要な設備や機材の準備を行いましょう。
主に必要なものは次の通りです。
・ネイルテーブル
・ネイルチェア
・照明器具
・ネイルチップディスプレイ
・待合いに必要な家具 など
ネイルテーブルやチェアは非常に重要です。
ネイルを行う時、お客様は長時間座ったまま施術を受けます。施術時間が長くても疲れないようなテーブルやチェアが必要です。
またテーブルを選ぶ時は、材質にも気をつけたいところです。。ネイルで使うアセトンなどの薬品は、プラスチックの素材を溶かしてしまいます。
薬剤をこぼしても変質しないテーブルを選びましょう。
フットに関するメニューを取り入れるのであれば、フットバスやフットレストなどが必須です。また施術のためにリクライニング式のチェアも用意しなければなりません。
施術中にネイリストに負担がかからないよう、設備を整えることも大事です。
さまざまな備品の準備
ほかにも作業用の備品も準備しなくてはなりません。
・ワゴンや棚
・消毒器(ステリライザー)
・アルコール
・体温計
・飛沫防止のアクリル板 など
ネイル用品がすぐ手の届くところにあるように、配置を考えましょう。
また衛生面に関わる備品の用意も必要です。飛沫防止のアクリル板は、ネイリストとお客様の間を仕切り、手だけを出せるようにしましょう。
作業用の備品だけでなく、電話機や空気清浄機などの設備も整えなければなりません。
インターネットの契約や、お会計に必要なレジや顧客システムなども必要です。
実際に予約して施術を受け、会計するまでの流れをシミュレーションしておくことをおすすめします。
またインターネットは契約後、利用できるまで時間がかかる場合があります。余裕をもって準備しておいてください。
さらにお客様へのサービスとして、お茶を出したりウォーターサーバーを設置したりするのであれば、茶葉やカップなど必要なものを準備しておきます。
ネイルサロン開業に必要な費用
ネイルサロンは少ない資金でも開業が可能です。自宅を選べば物件取得費用がかかりません。しかし、テナントを借りて開業する場合にはまとまった資金が必要になります。
順番にご説明していきます。
物件の費用
テナントを借りて開業する場合には、物件の費用と内装工事費用が必要になります。
敷金・礼金は家賃のおよそ6ヶ月分の費用が必要です。それ以外には保証金が1ヶ月分、仲介手数料が1ヶ月分、前払い家賃が1ヶ月分とかかってきます。
したがって、物件取得費用は家賃の10ヶ月分かかることは珍しくありません。
内装費用は、店舗の広さやどの程度こだわるかによってかわります。こだわった内装にしたい場合は、少なくても1坪20万円程度の費用をみておきましょう。
設備の費用
設備を整える費用も必要になります。
どのような品質のものを求めるかによって、必要な費用は変わります。
特にネイルテーブルやネイルチェア、待合いの家具にかかる費用にはばらつきがあります。
ネイルチェアは1万円程度で購入できるものもあれば、高級電動チェアの中には10万円以上するものもあります。
予算とコンセプトを軸に、何にいくら使うかを決めて購入しましょう。
材料・消耗品の費用
ネイル用品やタオル類・ネイル雑誌などネイルに関わる消耗品だけでなく、トイレットペーパーや感染症対策に関わる消耗品も準備しなければなりません。
特に材料はサロンコンセプトや訴求したいデザイン・アートをベースに仕入れます。ネイルカラーやストーン類など、どの程度そろえるかによって消耗品にかかる費用は変わってきます。
広告費
売上を伸ばすためには、販促活動は不可欠です。
お店を知ってもらうための方法、予約のしやすさ、リピート対策などにお金をかけます。販促費には、以下のようなものがあります。
・チラシ
・フリーペーパー
・リーフレット
・ホームページ
・ポータルサイト
・SNS
また、予約管理や顧客管理のためにシステムを導入することもあります。
チラシやリーフレットは単発での支払いになりますが、ポータルサイトやホームページの運用、予約システムの利用は毎月支払いが発生します。
したがって、広告費はオープン時に発生する費用ではなく、サロン営業で必ず発生する販管費といえます。
ネイルサロン開業後にかかる運用経費
ネイルサロンにかかる費用は、開業に関するものだけではありません。開業後、運用していくための運用経費も必要です。
運用経費は「賃料」「水道光熱費」「ネイル商材費」「広告宣伝費」などが含まれます。スタッフを雇うのであれば、「人件費」もかかります。
事業計画書を立てるときには、必ず発生するであろう経費を計算して、損益分岐点を出すことをおすすめします。
※損益分岐点の求め方はこちら
『経費計算からスタート! 損益分岐点を使った売上目標の立て方』
開業後、すぐに安定した売上を出すことは難しいでしょう。
したがって、売上が十分でなくてもサロン運営にかかる経費を支払えるだけの現金を確保しておくことが大切です。
ネイルサロン開業の資金調達
自己資金のみでネイルサロンを開業できればよいのですが、それだけでは足りない場合もあります。
その場合は融資や助成金を活用します。うまく活用して資金を集めましょう。
サロン開業の借入れは、政府系金融機関である日本政策金融公庫の融資が一般的です。民間の金融機関よりも融資のハードルが低いと言えます。
※日本政策金融公庫についてはこちらから。
資金調達の中でも助成金は返済義務がなく、要件が合えば誰でも申請できます。
さまざまな種類の助成金が設置されていますが、その中でもネイルサロン開業にも使えるオススメの助成金をご紹介します。
・若手・女性リーダー応援プログラム助成事業
・キャリアアップ助成金
・地域雇用開発助成金
・人材開発支援助成金
・自治体独自の助成金
国が設けている助成金もありますが、自治体が独自に設けている助成金もあります。
どのような助成金があるのか、必ず調べておきましょう。
※「補助金・助成金診断ツール」もご利用ください。
ネイルサロン開業に必要な資格は?
ネイルサロンを開業するために、特に必要な資格はありません。誰でも開業することができます。
しかし数多くあるネイルサロンの中から、自分の店舗を選んでいただかなくてはなりません。資格がないため、自己流で技術を獲得してきた人もいれば、趣味の延長で始める人もいます。
したがって、高い技術を持っていると証明できるほうがネイリストとしての価値を高められます。ネイルスクールからの証明書や、認定資格を取得するのがおすすめです。
保健所への申請は不要?ネイルサロン開業に必要な届出
ネイルサロンを開業する場合、保健所への美容所登録は不要です。
しかし厚生労働省より「ネイルサロンにおける衛生管理に関する指針」が示されています。この内容をしっかり把握し、指針に沿った衛生管理ができるようにしなければなりません。
また開業する時、税務署へ「開業届」の提出が必要です。
開業後1ヶ月以内に提出すれば問題ありませんが、オープン後は忙しく出し忘れる可能性があります。
開業前に出すこともできるため、早めに提出しておきましょう。
開業届と同時に、青色申告事業者として申告もしておきましょう。最大65万円の特別控除が受けられたり、赤字を最大3年間繰り越せたり、さまざまな節税効果が得られます。
ぜひ一緒に「青色申告承認申請書」も提出しておきましょう。
ネイルサロン開業もビューティガレージにおまかせ!
ネイルサロン開業についてご説明してきました。
しかし実際、一人で準備するとなるとわからないことや、不安なこともたくさん出てくるのではないでしょうか?
そんな時には、ぜひビューティガレージの開業無料相談をご利用ください!
サロン開業について、経験豊富な開業コンシェルジュがサポートいたします。
まとめ
ネイルサロン開業はざっくりと「店舗型」と「自宅型」の2パターンに分けられます。
それぞれメリットとデメリットがあるため、どのパターンがよいか自分に合ったものを選びましょう。
またネイルサロン開業にはさまざまな準備と費用がかかります。特にコンセプトとターゲット決めは、経営方針にも関わってくる大切な部分です。
自分が理想とするネイルサロン開業に向けて、しっかり準備を行いましょう。
ビューティガレージ コンシェルジュ室
日本最大級のプロ向け美容商材のオンラインショップ&ショールームを運営する株式会社ビューティガレージで、サロンの開業・経営支援のコンサルタント業務を担当。
15年以上のサポート実績と、数多くの開業事例、データに基づいた分析で、年間600件以上の開業に携わっています。
事業計画書の作成からお店のオープンまで、サロンオーナーと二人三脚で開業準備を行う「開業プロデュース」が好評。成功サロンを多数輩出しています。