いまさら聞けない!造作譲渡金について解説!
開業を進めていくなかで、物件探しで苦戦する方は多いのではないでしょうか。
そんな中で見つけた物件が「居抜き物件」
不動産の担当者から渡された物件の初期費用概算書の中に「造作譲渡金」の文言があり、金額も大きな金額が記載されているケースもあります。
今回は「造作譲渡金」について解説していきます。
参考記事:契約は2つある!3者の「関係」からみる居抜き物件の注意点
物件の種類
テナントは大きく分けて「スケルトン物件」と「居抜き物件」の2種類があります。
スケルトンは室内の内装がなく、柱やコンクリートや配管など建物の構造躯体がむき出しの状態の物件のことです。
一方、居抜きはその物件の前借主が使用していた内装や設備、什器類が残っている状態の物件をいいます。
このうち居抜きについて、内装や設備、什器類を譲渡交渉して譲ることを、不動産用語で「造作譲渡」といいます。
居抜き物件の場合、「造作譲渡金」をしっかりと理解しておくことが大切です。
造作譲渡金とは
サロンの造作一式、例えば壁・床・天井などの内装、シャンプー台、セット面、椅子・エステ機器などの設備などを譲渡するときの金額を造作譲渡金といいます。
売り手にとって造作譲渡する主なメリットは、売却益が得られることや、設備の処分や片付けの手間が減ることが上げられます。
一方、買い手にとってはスケルトンから店づくりをするときに比べ開業コストを抑えることができる、開業までの時間を短縮できることがメリットとなります。
金額の決め方
造作譲渡金を理解することで、金額が妥当なのか判断することが出来ます。
まず、造作譲渡料は、1つ1つの設備に個別の価格があり、それを合計したものではありません。
譲渡対象物をひとまとめにし、その「価値」が金額になります。
また、造作一式の所有権は、売り手にあります。
そのため造作すべてを譲渡対象とするのではなく、手放したいもの、引き取りたいものを決めることができます。
売り手と買い手との間で認識が異なることがないように、売り手は譲渡対象物のリストを作成します。
なお造作物の所有権は売り手にありますが、物件の所有者は貸主(物件オーナー)です。
したがって、造作譲渡の契約と賃貸借契約は別物になります。
買い手は、両者と交渉し、それぞれの契約を結びます。
参考記事:事業計画書を見直そう!物件探しで止まってしまったときにやるべきこと
対象物の判断
物件見学後に対象物の最終確認(必要・不要の判断)をして、造作譲渡金の金額が確定します。
サロン運営で不要なものを「新しい機材だからとりあえずもらう」などの判断をしてしまうと後々後悔するケースもあります。
サロン運営をしていく中で、やっぱり使用しなかった…といったことが起こると、処分に費用が掛かることもあります。
大型機材だとスペース幅をとってしまい導線の邪魔になることもあるので、本当に自分が出店するサロンに必要なのか適切な判断が必要です。
反面、必要なものが多く備わっている場合はメリットもあります。
オープンしてから営業年数が短い店舗はさまざまなものの状態がよく、問題なく使用できる状態の機器が多いため、譲渡金は高くなる傾向はあります。
新たに新品注文や設置料など総合的に見ると安上がりになることもあります。
まとめ
居抜き物件で出てくる造作譲渡金について解説してきました。
残地される造作一式はこれから開業するサロンに必要か不必要なのかで、造作譲渡代金が高くつくのか、安くつくのか変化していきます
内覧をする際は、現店舗の現状をしっかり把握する必要があるので写真などを撮っておき、振りかえられる対策は取っておきましょう。
(※必ず許可を得てから撮影をお願いします)
●文/コンシェルジュチーム:藤平
ビューティガレージ コンシェルジュ室
日本最大級のプロ向け美容商材のオンラインショップ&ショールームを運営する株式会社ビューティガレージで、サロンの開業・経営支援のコンサルタント業務を担当。
15年以上のサポート実績と、数多くの開業事例、データに基づいた分析で、年間600件以上の開業に携わっています。
事業計画書の作成からお店のオープンまで、サロンオーナーと二人三脚で開業準備を行う「開業プロデュース」が好評。成功サロンを多数輩出しています。