物価上昇の時代に突入!これから開業する人が事業計画で意識すべきこと

公開日:2022/04/21  更新日:2022/04/21
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美容室 開業

4月に入って、様々なモノやサービスの値段が上がっています。

 

世界的な半導体不足に加えて、ロシアのウクライナ侵攻によるエネルギー価格の高騰。

 

それに伴う輸送コストの上昇。

 

中国のゼロコロナ政策による製造工場の停止。

 

さらに円安による輸入品の価格上昇。

 

こうした複数の要因で、各産業で値上げをせざるを得ない状況です。

 

美容室の開業という場面でも、物価上昇の影響を受けています。

 

例えば、給湯器が不足していて、シャンプーが稼働できず、オープン日までに間に合わないサロンがありました。内装工事も、木材など材料が高騰していて、値上がりしています。

 

まだ集計途中ですが、一人サロンでも最近では開業費が上がっているように感じます。

 

しばらくこの状況は続きそうです。したがって今後、美容室を開業する人達はこうした環境の変化を認識したうえで、対応していく必要があります。

 

そこで今回は、物価上昇の中で事業計画を立てるときに注意すべきことについて考えてみましょう。

 

経費を多めに想定して計画を立てる

物価が上がるということは、サロンの運営にも影響を及ぼします。

 

エネルギー価格が高騰しているので、ガスや電気料金は高くなるでしょう。仕入れる材料自体も高くなりますし、それを運搬する費用も上がれば、材料に上乗せされます。

 

経費が増えるため、売上が一定であれば当然利益が減ります。

 

さらにお客さまの懐事情も厳しくなれば、客数も減り売上も下がる可能性もあります。

 

サロンを永続させるためには利益を出し続けなければなりませんので、利益を確保するためには「売上を増やす」か「コストカットをするか」になります。

 

事業計画書作成時にはできるだけ経費を正確に見積もって、損益分岐点などを明らかにします。しかし、経済全体で物価が上がっている状況では、開業後に経費が上がることも想定されます。

 

したがって、計画段階でも経費は多めに見積もることが大切です。

 

例えば、原材料費は通常、売上の10%で計画しますが、物価高を考慮して12%と想定しておくなど、経費がかかる前提で収支計画を出すべきです。

 

当然経費があがるので、目標利益を達成するための損益分岐点は高くなります。それを踏まえた戦略を練らねばなりません。

 

参考『経費計算からスタート! 損益分岐点を使った売上目標の立て方【前編】

 

価値を重視したプライシング

物価上昇の対策として多くの産業が行っているのが「値上げ」になります。

 

ここでの値上げは、売上を伸ばすための施策というよりは「コストが上がった分だけ価格に反映させる」という方法になっています。

 

つまり、商品やサービスの内容は同じなのに価格だけが上がることになります。

 

内容がアップデートされているわけではないので「ちょっと高くなったので控えよう」と思われて、むしろ売上が下がる可能性がでてきます。

 

開業時にはコストから逆算したプライシングだけではなく、「提供価値」に主軸を置いた計画が重要です。

 

十分に利益を出せるだけの余裕のあるプライシングを行い、それに見合う提供サービスを設定することになります。

 

それゆえ、ターゲットの選定やコンセプトの立案は真剣に考えなければなりません。

 

カット価格を5,000円ではなく6,000円にできるか、単価を10,000円以上にするにはどうしたらよいか。サロンの提供価値をベースにプライシングを考えましょう。

 

たとえ、生活費がかさんでしまっても「絶対このサロンには通いたい」と思わせるサロンの魅力を作らねばなりません。

 

参考『サロンの利益を左右するのはプライシング!?「価格」から事業計画書を作る方法

 

人件費はケチらない

物価上昇による売上の悪化という状況で、一番コストカットしやすいのは実は人件費です。

 

なぜなら人件費は物価の上昇に直接影響を受けないからです。

 

そうすると「他のコストは上がったぶん、人件費を抑える」という発想も出てきます。しかしこれは一番やってはいけないことだと思います。

 

サロンのサービス価格は上がったのに、給与は上がらないということになります。

 

経済全体の物価が上昇しているのに、給与が上がらなかったらそのスタッフはどうなるでしょうか。

 

お客さまのために価格を抑えることで、逆にスタッフの生活が苦しくなってしまいます。

 

スタッフにはスタイリストという顔のほかに、生活者という顔があります。

 

サロンのお客さまを優先して、できるだけ値上げしないように配慮しても、結局スタイリストの生活を苦しくしてしまう可能性がでるのです。

 

サロンオーナーの仕事は、お客さまにサロンの価値を提供すると同時に、事業を通してそこで働く人の生活を豊かにすることでもあります。

 

開業時だからこそ、断固たる決意で、スタッフへの給与を多めに設定しましょう。

 

参考『スタイリストの雇用がサロン繁盛のキモ!?開業時における人件費の考え方

 

価格も価値も上がるようなサロンを作ろう

様々な要因から、まだまだモノ・サービスの値段が上がっていくことが予想されます。

 

今年の夏は電力不足も懸念されています。食品など生活必需品もさらなる値上げが想定されています。

 

こうした状況の中で、開業をするにあたってはプライシングが重要になると思います。

 

経費が増える分、十分に余裕のある価格設定にしなければなりません。

 

一方、経費から価格を考えるのではなく、あくまで「提供価値」から値付けをしましょう。

 

また物価高騰の影響を受けるのは、生活者としてのスタッフも同じです。それを前提とした給与設定を行いましょう。

 

ビューティガレージの開業サポートでは、現在の状況を踏まえながら繁盛するサロンづくりをお手伝いしております。

 

ぜひ開業無料相談にお問い合わせください。

 

 

●文/コンシェルジュ室:安斎

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ビューティガレージ コンシェルジュ室

日本最大級のプロ向け美容商材のオンラインショップ&ショールームを運営する株式会社ビューティガレージで、サロンの開業・経営支援のコンサルタント業務を担当。

15年以上のサポート実績と、数多くの開業事例、データに基づいた分析で、年間600件以上の開業に携わっています。

事業計画書の作成からお店のオープンまで、サロンオーナーと二人三脚で開業準備を行う「開業プロデュース」が好評。成功サロンを多数輩出しています。

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