美容室開業におけるマーケティング戦略の重要性
美容室の開業にあたって、多くのオーナーが気にされるのは「集客」です。お客さまをどう集めるかは、もちろんサロンビジネスを成功させるための重要な要素ですが、これはあくまでマーケティング全体の一部に過ぎません。
集客ツールを何にするかだけを切り取って考えるのではなく、サロン全体のマーケティング戦略をしっかりと考えることが成功のカギです。
今回は、美容室開業時にどのようにして効果的なマーケティングを行い、集客ツールを選定していくべきかを、具体的な手順とともに解説します。
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目次
誰にどんな価値を提供するかを決める
まず最初に重要なのは「サロンが来てほしいターゲットと提供する価値」を明確にすることです。競合ひしめく美容業界では特にターゲットを絞ることが差別化のためには不可欠です。
そのためには、STP分析やペルソナマーケティング、そして3C分析を活用することが効果的です。
STP分析
STP分析はマーケティング戦略を立てる上での基本的なフレームワークです。これにより、ターゲット市場を効果的にセグメントし、ターゲットを定めます。
Segmentation(セグメンテーション)
市場を細分化し、年齢、性別、ライフスタイル、収入などの特性に基づいて市場を分割します。
Targeting(ターゲティング)
分割された市場の中から、自分のサロンが最も効果的に価値を提供できるセグメントを選びます。
Positioning(ポジショニング)
競合との差別化を図り、選ばれるための明確な強みやメッセージを定めます。
ペルソナマーケティング
STP分析によってターゲット市場を定めた後、ペルソナマーケティングを活用して具体的な顧客像を描き出します。
例えば、「30代の忙しい働く女性、リラックスできる時間を求めている」というように、詳細な人物像を設定することで、サービスやプロモーションの方向性を具体化します。
3C分析
次に、3C分析を行い、サロンのターゲット市場に対してどのようにアプローチすべきかを明確にします。
Customer(顧客)
ターゲットとなる顧客のニーズを深く理解し、そのニーズに合った価値を提供します。
Competitor(競合)
競合サロンの分析を行いその特徴を見極めます。競合サロンがどのように顧客を引きつけているかを理解し、自分のサロンがどのように差別化できるかを考慮します。
Company(自社)
一方で、自分の強みや弱み、持っているリソースや得意な技術などを明確にし、サロンが提供できる価値を最大化していきます。
参考記事:
『サロンに役立つマーケティング用語 ~STPマーケティング編~』
『ターゲットが「サロンに行きたい」と思う状況は?実践ペルソナマーケティング』
『マーケティングを取り入れよう! 簡単にできる3C分析の使い方』
どうやってどの価値を提供するかを決める
次に考えるべきは、ターゲットにどのような形でサロンの価値を提供するかです。これを考える際には、マーケティングミックスというフレームワークがおすすめです。
4P(Product, Price, Place, Promotion)フレームワークとも呼ばれています。
Product(商品)
サロンが提供する具体的なサービス内容を決定します。
例えば、ヘアカット、カラーリング、パーマ、トリートメントなどのメニューを提供するだけでなく、最新のトレンドや技術を取り入れるか、またはエコフレンドリーな製品を使うかなど、他店との差別化ポイントを意識しましょう。
Price(価格)
価格設定も重要な要素です。
ターゲットとする顧客層に合わせた価格設定が不可欠です。高級志向のサロンであれば、高めの価格を設定することが自然ですが、リーズナブルな価格を求める層をターゲットとする場合は、それに見合った価格設定が必要です。
Place(場所)
サロンの立地は、ターゲット顧客にアクセスしやすい場所に設定することが重要です。
駅近やショッピングモール内、あるいは住宅街、ターゲット顧客が日常的に立ち寄りやすい場所を選ぶことが、集客効果を高めます。
Promotion(販促)
そしていよいよプロモーションを考えます。
SNSを活用した広告や、チラシ、口コミの活用など、ターゲット顧客にリーチするための手段を選定します。初回利用割引や、友人紹介制度などのインセンティブを導入することも、効果的な集客手法です。
参考記事:『振り返りは多様な視点で!4P分析を使ったサロン売上の改善方法』
何にどのくらいお金をかけるかを決める
最後に、マーケティングにどれだけの予算を割くかを決定します。
美容室を開業する際には、内装や器具といった設備にかかる費用はもちろん、集客施策や広告費用も考慮する必要があります。
予算が限られている場合でも、効果的に集客できるように資金を振り分けることが重要です。予算をどの部分に配分するかが肝になります。
例えば、最初の半年間でどのくらいの集客を目指すかによって、広告費用の配分が変わってきます。
さらに、内装や器具の費用に関しても、サービスの追求のためにこだわり過ぎると資金が圧迫されるため、広告宣伝費などを削らざるを得なくなるなどのリスクも発生します。
したがって優先順位をつけて計画的に配分することが求められます。
参考記事:『広告は投資!美容サロンの広告効果測定キホンのキ』
まとめ
美容室の開業は、事業計画においてしっかりとしたマーケティング戦略を立て、誰にどんな価値を提供するのかを明確にし、その価値をどのようにして提供するのかを設定していくことが重要です。
そして、予算や資金計画を慎重に考慮し、効果的な集客施策を選定することで、成功へと導くことができます。
この一連の流れの中で集客施策が決まります。くれぐれも、集客は「ホットペッパー」と安易に考えないようにしましょう。
マーケティングを全体的に見渡し、サロンの強みを最大限に活かした集客戦略を練りましょう。
●文/コンシェルジュ室:安斎
ビューティガレージ コンシェルジュ室
日本最大級のプロ向け美容商材のオンラインショップ&ショールームを運営する株式会社ビューティガレージで、サロンの開業・経営支援のコンサルタント業務を担当。
15年以上のサポート実績と、数多くの開業事例、データに基づいた分析で、年間600件以上の開業に携わっています。
事業計画書の作成からお店のオープンまで、サロンオーナーと二人三脚で開業準備を行う「開業プロデュース」が好評。成功サロンを多数輩出しています。